仏壇を処分する際の注意点は? 処分前の確認点や処分方法を解説

「仏壇はそのまま処分しても大丈夫なのか?」「処分前に確認すべきことはあるのか」など、仏壇の処分方法で悩んでいる方は多いでしょう。仏壇は仏像を安置する場所でもあるため、処分方法にも注意が必要になります。気持ちよく処分するためにも、しっかりと注意点を把握しておかなければなりません。

本記事では、仏壇を処分する際の注意点や処分方法などを解説します。

  1. 仏壇の処分が必要になるのはどんなときか?
  2. 仏壇を処分する前に確認することは?
  3. 仏壇を処分する方法
  4. 位牌や仏具はどうすればいいのか?
  5. 仏壇の処分に関してよくある質問

この記事を読むことで、仏壇の正しい処分方法や処分前の確認ポイントなどが分かります。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

 

1.仏壇の処分が必要になるのはどんなときか?

最初に、仏壇の処分が必要になるケースをいくつか紹介しましょう。

1-1.買い換えや引っ越し

仏壇を処分しなければならないケースとしては、買い換えや引っ越しが代表的でしょう。子どもの独立をきっかけに手狭のマンションへ引っ越しすることが決まり、小さめのコンパクトな仏壇に買い換えるケースが増えています。一般的な仏壇は、台付きタイプが120~140cm程度と大きめなものが多いため、その半分のサイズに買い換える人が多いのです。特に、引っ越し先の住居で仏壇を設置するスペースがない場合は、処分を検討しなければならなくなります。

1-2.遺品整理が必要になるとき

最近では、遺品整理をするときに仏壇も処分するケースが増加しています。離れて住んでいた親が亡くなった場合、仏壇をどうすればいいのか悩みがちです。承継者がいるのであれば、仏壇を移動させることもできますが、継承者がいない場合は仏壇を処分せざるを得ません。一般的に、子どもが継承することになりますが、子のない家庭や全員が家を離れて独立したため、誰も承継できない場合は処分することになるでしょう。そのまま実家に置いておく方もいますが、定期的に手入れをする必要があります。

2.仏壇を処分する前に確認することは?

ここでは、仏壇を処分する前に確認すべきことを解説します。

2-1.引き出しなど中身を細かくチェックする

仏壇を処分する前に必ずチェックしておきたいのが、引き出しなどの中身です。仏壇には、小物入れや引き出しといった収納できるスペースがついています。これらの収納スペースには、数珠・経典・遺影・古い位牌・小物類などが入っている可能性が高いため、絶対に確認してください。場合によっては、通帳や印鑑といった重要なものの保管場所として使われていることもあるでしょう。引き出しの中だけではなく、すき間も細かくチェックしてください。すき間に大事な書類を隠している可能性もあるため、入念にチェックすることをおすすめします。

2-2.宗教ごとのルールを確認する

仏壇の処分方法は、宗教ごとに決められているケースがあるため、宗教ごとのルールを確認しておかなければなりません。ほとんどの宗教では、仏壇の処分時に位牌も併せて魂抜きの供養をすることになるでしょう。ただし、浄土真宗では、仏壇を処分すること自体はほかの宗派と同じであっても、位牌に魂は宿っていないと考えられています。その場合は、供養をしなくても良しとされているのです。このように、処分の仕方が宗派によってルールが異なるので、分からない場合は菩提寺に相談してルールをしっかりと確認してください。

2-3.丁寧に扱うように心がける

仏壇を処分する前に、丁寧に扱うことを心がけるのも大切です。閉眼供養を行った仏壇であっても、故人や先祖を偲ぶために使ってきたものですから、処分時でも敬意を払いましょう。丁寧に扱うことは、仏壇や位牌を処分する際の基本的なマナーといっても過言ではありません。実際に、仏壇を雑に扱うのが失礼だと多くの方が感じられているはずです。だからこそ、仏壇を処分する際は、正しい方法で捨てなければなりませんし、周囲の人の感情にも配慮しなければなりません。面倒だからと適当に処分するのではなく、きちんと正しい方法を把握してから処分するように心がけましょう。

3.仏壇を処分する方法

それでは、仏壇を処分する方法について詳しく説明しましょう。

3-1.菩提寺に供養を依頼する

菩提寺があれば、供養をお願いして処分する方法があります。菩提寺に依頼するメリットとしては、開眼供養から閉眼供養まですべてを執り行ってもらうことができる点です。買い換えの場合でも、古い仏壇の供養と併せて新しい仏壇の開眼供養が依頼できるでしょう。また、仏壇の処分だけでなく、購入に関しても相談にのってもらうことができます。ただし、菩提寺がなかったり、分からなかったりするなど、依頼できないこともあるでしょう。その場合は、ほかの方法で処分することになります。

3-2.仏具店に処分を依頼する

仏壇の買い換えを検討している方は、新しい仏壇を購入する仏具店に依頼するのも選択肢の1つです。仏具店の中には、仏壇の供養を受け付けているところもあります。仏具店に依頼することで、仏壇の購入と処分の日程調整がしやすくなるでしょう。スピーディーに仏壇を処分したいと思っている方は、仏具店に相談してみてください。また、処分をする際の手続きがとてもスムーズですし、新しく購入する仏壇の金額が割り引かれる可能性もあります。ただし、仏壇を購入しない場合は依頼しにくいところがあるため、買い換えを検討していない方はほかの方法で処分したほうがいいでしょう。

3-3.自治体回収のゴミとして出す

仏壇は自治体回収のゴミとして出すことが可能です。粗大ゴミとして自宅近くの指定場所に持ち運ぶだけで処分できるでしょう。費用が安く抑えられるのはもちろんのこと、自分で処分するので面倒な手続きが少なく済みます。ただし、仏壇の形をした箱をゴミ捨て場に捨てることになるため、心理的に抵抗がある方も多いでしょう。近所の人が不快に思う可能性もありますし、自治体によっては仏壇の処分を受け付けていないところもあります。自治体回収のゴミとして出す場合は、自治体のHPなどで確認してからのほうがいいでしょう。

3-4.専門業者に依頼する

遺品整理で仏壇の処分も検討している方は、不用品回収業者といった専門業者に依頼することをおすすめします。専門業者の中には、魂抜きやお性根抜きなどを行っているところもあるので、供養も安心して依頼できるでしょう。粗大ゴミとして処分しないため、人の目を気にしないで済むことも大きなメリットとなります。また、仏壇はとても重く、自分で自宅から運び出すのは困難です。専門業者に依頼すればプロのスタッフが運び出してくれるので、手間と時間をかけずに安心して処分できます。ただし、費用が割高になるのがデメリットです。業者の中には、悪徳業者が存在しているので注意しなければなりません。

4.位牌や仏具はどうすればいいのか?

仏壇を処分する際、位牌や仏具はどのように扱えばいいのでしょうか。

4-1.位牌は供養をしてから処分する

仏壇は開眼供養をしていると閉眼供養を行わなければなりませんが、開眼供養をしていない場合は供養を行う必要がありません。けれども、位牌は供養を行ってから処分するのが一般的です。絶対にしなければならないというわけではありませんが、魂が宿っているので魂を抜くための供養が大切だといわれています。位牌の供養は、お寺でのお焚(た)き上げまたは仏具店や遺品整理業者などに供養を依頼し処分してもらうことになるでしょう。なお、位牌を処分する際は自分1人で決めずに、ほかの家族や親族に相談することが大切です。

4-2.仏壇と一緒に処分する

供養をした位牌、そして仏具類は仏壇と一緒に処分するのが一般的です。お寺に一緒に処分してもらえるかどうか尋ねるといいでしょう。また、ほとんどの仏具店や専門業者では、仏壇と併せて位牌と仏具の処分も受け付けています。依頼前に、処分費用がいくらぐらいかかるのか、見積書の内容をしっかりと確認してください。自治体回収のゴミとして処分する場合は、何ゴミになるのか確認が必要です。そのまま処分すると周囲の人が不快な思いをする可能性があるため、きちんと袋や箱に入れて処分したほうがいいでしょう。

4-3.買い取ってもらえることも

位牌は難しいですが、数珠・香炉・燭台・花瓶といった仏具類は買い取ってもらえる可能性があります。代々伝わる仏具類を持っているのであれば、骨董品としての価値がある可能性があるため、古美術商に相談するといいでしょう。美術的な価値があると判断され、高値で売れるケースがあります。そのほかにも仏具店やリサイクルショップ・買取専門店でも仏具類の買取を行っているところがあるので、ぜひチェックしてみてください。取引数は少なめですが、ネットオークションやフリマアプリを利用して自分で売却することもできます。

5.仏壇の処分に関してよくある質問

仏壇の処分に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.開眼供養と閉眼供養とは?
A.開眼供養は、魂入れ・お性根入れ・入魂式とも呼ばれている儀式のことで、仏壇に魂を入れるという意味があります。浄土真宗では行われていませんが、ほかの宗教では僧侶によって行われることになるでしょう。一方、閉眼供養は仏壇から魂を抜く儀式のことです。開眼供養を行っている場合は、閉眼供養を行ってから仏壇を処分することになります。そのため、処分前に、開眼供養を行ったかどうか確認しておかなければなりません。

Q.処分費用はいくらぐらいか?
A.処分方法によって異なりますが、約20,000~70,000円が目安になるでしょう。仏壇の引き取りから供養まで行うことになると、約70,000円かかることになります。供養をせずに処分だけであれば、数百円~数千円で済む可能性もあるでしょう。どのような方法で処分するのか・どこからどこまで依頼するのかによって費用が異なるため、事前の確認が必要です。また、有名な仏壇店の「はせがわ」では、買い換えのお客様に限り、一律18,000円で引き取りを行っています。

Q.遺影はどうやって処分すればいいのか?
A.仏壇を処分する際に悩みどころになるのが遺影です。遺影は仏教の教えとは直接関わりのないものなので、供養は必要ありません。ただし、仏壇の上に置いて毎日拝んでいたものですから、仏壇と同じように先祖の魂が宿っていると感じるのは当然のことでしょう。そのため、仏壇の処分と併せて、遺影の処分も検討している方は、同じように閉眼供養を依頼してください。閉眼供養を行うことで、遺影から魂を抜き、ただの写真にします。また、ゴミとして出してしまうのは抵抗を感じると思うので、お寺にお焚き上げを依頼するのが一般的です。

Q.仏壇は買い取ってもらえるのか?
A.仏具類と同じく、仏壇も買い取ってもらえる可能性があります。不用品回収業者や買取専門店・リサイクルショップなどで買い取ってもらえるでしょう。一般的に、問題なく仏壇として再利用できる状態であれば買取可能です。ただし、仏壇の種類や大きさ・状態などによっては買取額が低くなるケースもあるでしょう。複数の業者に査定を依頼し、比較することが大切です。

Q.業者選びのポイントは?
A.どの業者に仏壇の処分を依頼すればいいのか悩んでいる方は、以下のポイントを参考にしてください。

  • 不用品の回収や遺品整理の実績があるか
  • 回収だけでなく買取サービスを行っているか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
  • 遺品整理士が在籍しているか
  • 無料相談や無料見積もりを受け付けているか
  • 見積書の内容が具体的に記載されているか
  • 実際に利用した人の口コミや評判がいいか

まとめ

仏壇を処分する際は、開眼供養を行っているか確認が必要です。開眼供養を行っている場合は、閉眼供養をしてから処分しなければなりません。菩提寺があればお坊さんに尋ねて、宗教ごとのルールをしっかりと確認しておきましょう。また、主な処分方法としては、お寺や仏具店に依頼する・自治体回収のゴミとして出す・専門業者を利用する方法があります。状況などを踏まえた上で、適切な方法を選び処分してください。