【解説】粘度計の種類や原理を知りたい! 用途や使い方をチェック!

粘度計というのは、その名のとおり物質の粘度を測定する測定器です。
粘度のある物質は、触っただけでも「ネバネバしているな」と分かりますが、どのくらいの粘度かまでは分かりません。
そこで、今回は粘度計の種類や原理をご紹介します。
物質の粘度というのは、皆様が思っている以上に重要視されることが多いのです。
今回は、価格や中古市場の状況などについてもご紹介しましょう。
粘度計の購入を考えている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

  1. 粘度計とはどういうもの?
  2. 粘度計の種類とは?
  3. 粘度計の選び方
  4. 中古市場に目を向けよう

1.粘度計とはどういうもの?

粘度計とは、その名のとおり物質の粘度をはかるものです。
物質の粘度というのは、見た目や手触りだけでもある程度分かります。
しかし、どのくらいの粘度を持っているのか、正確な数値を出したりほかのものと比べたりするには、粘度計が必要です。
粘度計の原理は、物体が粘度計の中を通過する時間。
粘度計の部品が物質の中を落下する速度、粘度のある物質の抵抗などを測定することにより、物質の粘度を測定します。
つまり、粘度計はその測り方の数だけ種類があるのです。
では、いったいどのようなものがあるのでしょうか?
次の項で詳しくご紹介します。

2.粘度計の種類とは?

この項では、粘度計の種類についてご紹介します。
計測器の中ではマイナーな存在の粘度計ですが、意外と種類は多いのです。

2-1.細管式粘度計

細い管の中に粘度を測定したい物質を通し、物質が流れる時間(流量)と細管の量はじの圧力差から粘度を測定します。
粘度計の中では最も歴史が古く、測定をしたい物質を入れる丸くふくらんだ部分と粘度を測定する細い管の組み合わせでなりたっているのです。
構造が単純な分、低価格ですが比較的精密な粘度測定ができるのが特徴。
ただし、材質はガラスでできているので、倒れれば壊れてしまうでしょう。
水やオイルなど低粘度のニュートン流体の測定に用いられます。

2-2.落球式粘度計

ガラス管の中にサンプルを満たし、そこに球体を入れて粘度を測定する機械です。
流体の中をボールが落下していくときの抵抗や速度を測定して粘度を測定します。
うまく測定できなかったときは、ガラス管をひっくり返せば再測定できるので測り直しも簡単です。
はちみつのように比較的粘度の高い物質から水のように粘度の低い物質まで、広範囲の粘度が測定できます。
また、細管式粘度計に比べるとコンパクトな作りのため、持ち運びもできるでしょう。

2-3.回転式粘度計

別名B型式粘度計ともいわれています。
1934年にブルックフィールド社によって開発された粘度計で、今は世界標準の粘度計として幅広い場所で使われているのです。
測定したい物質の中で粘度計の部品が回転するので、その抵抗によって粘度を測定します。
回転体の形によりさらに細かい種類に分かれており、簡易測定から精密測定までできるのが最大のメリットです。
また、回転数は調整できるので複数の物質がまじりあった非ニュートン流体でも測定できます。

3.粘度計の選び方

さて、粘度計は大きく分けて3つの種類があるということが、お分かりいただけたと思います。
この項では、粘度計の選び方をご紹介しましょう。
ぜひ参考にしてください

3-1.回転式粘度計を選べば問題ない?

現在、粘度計の中で最もシェアが大きいのが、回転式粘度計です。
安価なアナログ式から、精密に測定できるデジタル式のものまでいろいろな種類が販売されているでしょう。
粘度計を職場で使っている方ですと、粘度計イコール回転式と思っている方もいるかもしれません。
確かに、回転式粘度計は種類も豊富で測定できる物質も多いです。
また、専用のパソコン用ソフトまで開発されており、室内で物質の粘度を測定するには一番でしょう。
ただし、機械が大きく持ち運べないのが難点です。
ですから、機械を持ち歩いて測定したいという場合は、別の粘度計を選んだ方がよいでしょう。

3-2.測定する物質によって選ぶ

粘度計は、種類によって測定できる物質が限られています。
たとえば、細管式粘度計の場合は、純物質であるニュートン流体以外は正確に測定しにくいというデメリットがあるのです。
逆に、回転式粘度計はいろいろな物質を測定できますが、そのための付属品も多く、価格も高価になりがちでしょう。
ですから、室内でニュートン流体だけを測定し続けたいという場合は、細管式粘度計で十分というケースもあります。

3-3.落球式粘度計はコンパクト

落球式粘度計はコンパクトで、測定がうまくいかなかった場合もガラス管をひっくり返すだけで再測定ができます。
ですから、出先で粘度を計測したり研究室以外の場所で粘度を測定したりしたいという場合は、便利です。
また、場所も取りませんから複数の粘度計を使いたいという場合も、落球式はお勧めでしょう。

3-4.手入れのしやすさで選ぶ

粘度計は、定期的に「校正用粘度標準液」で校正を行わないと正確な測定結果が出ません。
また、粘度計はその名のとおりべたべたとした粘性の高い物質を測定することも少なくないので、どうしても手入れに時間がかかります。
ですから、粘度計を販売しているメーカーの中には、アフターケアをサービスとして実施しているところもあるのです。
また、細乾式粘度計の場合は、作りが単純な分お手入れも楽というメリットがあります。
たとえば、毎日物質を測定するという場合はより手入れが簡単なものの方が使いやすいでしょう。
また、付属品が多すぎても使いにくいケースがあります。

4.中古市場に目を向けよう

回転式粘度計の場合は、中古市場も活発です。
粘度計のような測定器は丁寧に使われていることが多いので、長年使ったものでも状態がよいものが多いでしょう。
また、買い替えるので不要になったというケースも少なくないため、時期によっては比較的新しい年代のものが中古市場に出てくる場合もあります。
ですから、予算が限られているという場合や、サブ機としてもう一台測定器が欲しいという場合は、中古市場にも目を向けてみましょう。
中古の測定器だけを専門に取り扱っている業者もいます。
また、まだ十分に使える測定器が不要になったという場合も、業者に査定を依頼してみましょう。
古い測定器を引き取ってもらえれば、まだ使える測定器が廃棄されることもありません。

5.おわりに

今回は粘度計の種類や原理に付いてご紹介しました。
粘度計は家庭で使われることはほとんどありませんが、食品業界や化粧品メーカーなどで幅広く使われています。
また、大学の研究室で使っているところも多いでしょう。
現在は回転式粘度計が主流ですが、細管式粘度計も安価なために人気があります。
ただし、細管式粘度計は壊れやすいので取り扱いには注意してください。
粘度計を選ぶ際は使いごこちと測定する物質の両方から選んだ方がよいでしょう。
ニュートン流体だけを計測するというのならば、それほど高価なものは必要ありません。
また、高価な粘度測定器はそれだけ取り扱いも難しいですし、手入れにも手間がかかります。
限られた時間で大量のサンプルを検査しなければならないという場合は、簡易測定器のようなものの方が勝手はよい場合も少なくありません。
値段や性能だけを見て決めるよりも、実際に使う人の意見を聞いて測定器を選びましょう。