硬度計の原理や種類は? 選び方のコツはあるの?
硬度計とは、文字どおり物質の硬さを計測する機械です。物質の硬さは、見た目や皮膚感覚でおおよそは分かります。しかし、正確な数値を出したい場合は硬度計による測定が必要です。
今回は、硬度計の種類や原理をご紹介しましょう。硬度計には、いろいろな種類があります。ですから、測定する物質や測定するシチュエーションによって最適なものを選びましょう。硬度計の購入を考えている方は、ぜひこの記事を読んで参考にしてくださいね。
1.硬度計とは?
硬度計とは、文字どおり物質の硬さを測る測定機器です。硬度計と同じように硬さが測定できる機械として、「硬さ試験機」があります。この硬さ試験機とは、物質の一部を切り取って圧痕(あっこん)の大きさを顕微鏡で測定するのです。
一方、硬度計はブローブ(端子)を測定したい物質の表面に当てて、超音波を発信します。すると、物質に圧痕(あっこん)と共振周波数が生まれるのです。この圧痕の深さと共振周波数の高低で物質の硬さを測定するのが、硬度計の原理になります。ブローブ(端子)の細さや大きさを変えれば、構造が複雑なものでも、測定が可能です。
また、持ち運べるものが多いので、たとえば屋外で検査をするときなどでも便利でしょう。
2.硬度計の用途は?
この項では、硬度計の用途についてご紹介します。いったいどんなものを測定するのに使われるのでしょうか?
2-1.複数の物質を混ぜ合わせた物質のチェック
複数の物質を混ぜ合わせて別の物質を作るということは、製造の現場でよくおこなわれているのです。
金属ならば「合金」などと呼ばれていますね。しかし、この合金は配合の仕方や製造過程で硬度が変わりやすいのです。ですから、安定した商品を作るために硬度計で測定されることが多いでしょう。
2-2.歯車やねじなど複雑な物質の硬度を測定する
歯車やねじなど、複雑な構造を持つ金属製品は少なくありません。しかし、複雑な構造であるほど、高度が下がる可能性も高くなります。そこで、硬度計が品質検査として使われるのです。この場合は、ブローブ(端子)の小さいものを使って細部まで検査することが多いでしょう。
2-3.溶接部分の硬度を調べる
溶接とは、物質と物質を溶かした金属でつなぐ技術です。溶接によって製造されたものは、私たちの周りにたくさんあるでしょう。しかし、溶接した部分はほかの部分よりも劣化が早くなりがちです。
また、技術によっては溶接した直後から硬度が下がることもあるでしょう。そこで、溶接した部分の品質検査のために硬度計が使われます。
2-4.ゴム製品やプラスチック製品の劣化を調べる
硬度計が測れるのは、金属だけではありません。ゴム製品やプラスチック製品の硬度も調べられます。
ゴム製品やプラスチック製品は金属製品よりも劣化が早いです。また、ゴム製品やプラスチック製品が劣化すると柔軟性がなくなり硬化する、という特徴があります。ですから、硬度計で硬さを検査することにより、劣化の程度を検査できるのです。
3.硬度計の種類は?
この項では、硬度計の種類をご紹介します。硬度計を選ぶ際の参考にしてください。
3-1.ハンディ―硬度計
文字どおり、持ち運びに便利な硬度計です。中には、ブローブを変えられるものもあり、幅広い場所の検査ができるようになっています。また、平面を計りやすいものと曲面が測りやすいものがあるのです。
3-2.リバウンド硬度計
リバウンド硬度計とは、インパクトデバイスといわれる測定部分と表示部分からなる硬度計です。硬度計は超音波の共振周波数で硬度を測ると前述しました。リバウンド硬度計の場合は、インパクトデバイスを測定する物質に押し当てる前の電圧と、押し当てた後の電圧の比率によって硬度を計算するタイプの硬度計です。
こちらも手のひらサイズのポータブル機から、ある程度の大きさがあるものまでいろいろな種類があります。高性能の測定ができるうえ、機械によっては測定値を機械内に保管できるものもあるでしょう。
3-3.ゴム・プラスチック硬度計
文字どおり、ゴムやプラスチックを測定しやすくした硬度計です。こちらは、測定器の内部にスプリングの加圧力と反発力で硬度を測定します。ゴムやプラシチックは柔軟性があり、電波や電圧がうまく伝わりにくいためスプリングが利用されるのです。
4.硬度計の選び方?
この項では、硬度計の選び方をご紹介します。硬度計はいろいろなメーカーから販売されていますが、どのようなポイントに注意して選べばよいでしょうか?
4-1.用途によって選ぶ
硬度を測る物質はいろいろあります。代表的なものは金属ですが、そのほかにもプラスチックなども測定することがあるでしょう。ですから、一番測定するものをあらかじめ調べておいて、それを測定しやすい機器を選ぶと使いやすいです。
4-2.測定場所によって選ぶ
硬度を測定する場所も、硬度計選びには重要です。硬度計は比較的小型のものが多いですが、それでも高性能の測定ができるものや記録を機械内部に保管できるものほど大型でしょう。また、ハンディ―タイプのものは手のひらサイズですが、その分測定値をどこかに記録しておくことも必要です。ですから、測定する場所によって、機械を選ぶことも大切。
4-3.測定する物質の大きさによって選ぶ
硬度計は平面を測ったり、曲面を測ったり細部を測ったりします。ですから、計測する物体の大きさによって機械を決めましょう。今は、検査をするブローブ(端子)を取り換えることもできる機械が増えていますが、それでも細かい部分を測定するには専門の端子が必要になる場合もあります。
4-4.中古市場にも目を向けよう
硬度計をはじめとする測定器は、どれも丁寧に扱われることが多いです。また、硬いものに押し当てて硬度を測定しますから、ブローブなども劣化しにくいでしょう。というわけで、硬度計は中古市場も活発です。特に、有名メーカーの高価な硬度計は、中古でも盛んに取り引きされているでしょう。ですから、希望する硬度計が予算に比べると高すぎる、という場合は中古市場にも目を向けてみてください。
硬度計を買い替える場合は、壊れていない場合は下取りも考えてみましょう。今は、中古の測定器を扱う専門メーカーもあるので、ただ処分するよりは有効活用ができるかもしれません。
おわりに
今回は、硬度計の使い方や原理、種類などをご紹介しました。硬度計は比較的使う職場も多いので、いろいろなメーカーが販売しています。中には、安価な中華製のものもあるでしょう。しかし、より精密な測定値を求めるならば、やはり国産のものの方が安心です。
また、硬度計に限らずどんな測定器でも使っているうちにだんだんと誤差が生じてきます。そのため、定期的にアフターケアが必要です。ですから、やはり値段にかかわらず国産メーカーを選んだ方が数値も信用できるでしょう。
なお、硬度計は金属用とプラスチック、ゴム製品用は別々の測定方法を用いています。ですから、同じ硬度計で測ることはできません。いろいろな物質を測る機会があるという場合は、複数の硬度計を用意しておきましょう。そうすれば、どのような物質も測定することができるのです。硬度計は比較的取り扱いも簡単ですので、複数持っていても管理しやすいと思います。