輪郭形状測定機の購入・買取のポイントは?
輪郭形状測定機とは、対象物の輪郭形状を測定・記録するための装置です。ものづくりに必要不可欠な形状測定機の1つで、さまざまなジャンルで使用されています。輪郭形状測定機の種類は多種多様なので、目的に見合った種類を選択しなければなりません。また、使わなくなった輪郭形状測定機を処分する場合、正常に使用できる状態であれば買取に出すという選択もできるでしょう。本記事では、輪郭形状測定機の購入・売却をするために必要な内容をお届けします。
この記事を読むことで、輪郭形状測定機の購入・売却をするための知識を身につけることができます。検討している方はぜひ参考にしてください。
1.輪郭形状測定機の基礎知識
まずは、輪郭形状測定機とはどのようなものなのか、基本的な情報を知りましょう。
1-1.輪郭形状測定機とは
輪郭形状測定機とは、触針(スタイラス)を用いて対象物をなぞり、その輪郭形状を測定・記録する装置のことです。主に、触針・駆動部・検出器・測定台で構成されており、表面粗さ計として使用可能なものもあります。また、加工工程をコンピューターで数値制御する方法「CNC制御」を用いている機種では、角度・円弧の半径・段差・ネジのピッチなどの測定も可能です。
近年では、触針の代わりにレーザーを使用して、直接対象物に触らずに輪郭をなぞる機種が主流となっています。非接触で輪郭がなぞれるため、複雑な形状の測定も可能です。機種の特徴によって、使用する分野が異なるでしょう。
1-2.目的・用途について
日常的に私たちが使っているものには、さまざまな曲線を描いています。たとえば、使用率が上昇しているパソコンは、曲線にズレが生じるだけでかみ合わせが悪くなり、全体のバランスがゆがんでしまうでしょう。故障の原因となるため、きちんとバランスのよい曲線にしなければなりません。
そこで、必要になるのが「輪郭形状測定機」なのです。輪郭形状測定機を使用すれば、輪郭がハッキリと分かります。表面粗さ計の機能を備えているものは、対象物の凸凹具合も同時に測定可能です。より品質の高いものづくりができるようになるでしょう。
また、輪郭形状測定機は、自動車工場・宇宙工学など、あらゆるものづくりの現場で使用されています。
1-3.主な使い方
輪郭形状測定機の使い方はシンプルです。主な使い方は、以下の手順となります。
- 触針を本体に装着する
- 位置を決め、原点設定など取り扱いの手順どおりに操作する
- Y軸・回転テーブルなどを使用すれば、測定が自動化できる
- 測定データを各種のCADデータに変換すれば、コンピューター上で管理できる
1-4.必要性とメリット
工業製品・部品の表面には、表面の粗さ・うねりなどの凸凹が存在しています。また、きちんと輪郭を測定して組み合わせていかなければ、品質低下につながるのです。つまり、輪郭形状測定機は、ものづくりにおける品質管理を徹底するために必要な測定器といえるでしょう。高精度な測定で、立体物の寸法などが緻密に把握できます。
2.輪郭形状測定機の種類
種類によって、測定できる数値・特徴などが異なります。対象物の形状・測定の目的に合った種類を選ぶことが大切なので、きちんと把握しておかなければなりません。
2-1.種類
具体的な種類の区別はありませんが、触針による違いがあります。たとえば、従来の輪郭形状測定機は、金属製の触針を使用していました。本体に設置した針を直接対象物に触れることで、輪郭・形状を確認していたのです。しかし、最近では触針がレーザーとなり、非接触でも測定できるようになりました。複雑な形状を測定したいときは、レーザーを用いるとよいでしょう。
また、ほかには、上下面を連続で測定できる機能・測定力を変えることができる機能・使いやすさと安全性を重視したものなど、さまざまな種類が登場しています。
何のために使うのか目的をハッキリした上で、輪郭形状測定機を複数比較するとよいでしょう。
2-2.メーカーについて
輪郭形状測定機の特徴・種類は、メーカーによっても異なります。主な製造・販売メーカーといえば、ミツトヨ・キーエンス・東京精密・株式会社小坂研究所などです。この中でも、ミツトヨはさまざまな機能を兼ね備えた輪郭形状測定機を販売しています。
2-3.価格について
輪郭形状測定機の価格は、機能・大きさ・触診の種類などで異なります。具体的な価格を提示することはできませんが、平均費用は約100万円~です。最新機能がついているものほど価格が高くなるので注意してくださいね。何が測定できるのか、どんな機能がついているのか確認しながら、価格と比べていきましょう。
2-4.最近の傾向
触針がレーザー式のもの、加えて、さまざまな機能がついている輪郭形状測定機に人気が集まっています。主な機能としては、上下面連続測定機能・測定力可変機能などです。上下面連続測定機能は、ネジの有効経などを上下面連続データを用いて簡単に解析できる機能となります。従来の輪郭形状測定機では、難しい測定機能でした。そして、測定力可変機能は、データ処理部から位置調整が可能なため、自分たちで測定力の調整が要らなくなります。傾斜姿勢でも指定した測定力に対応可能です。
また、輪郭形状測定機の制御・データ解析照合・検査成績書の作成まで装備したデータ処理部で行うことができます。すべてデータ化することで、測定しやすく結果も簡単です。
2-5.注意点
新しく購入する場合は、きちんと用途を確認しておきましょう。そして、その用途に適した商品を選ぶようにしてください。たとえば、繊細でやわらかい対象物を測定する場合、接触型タイプでは変形するおそれがあります。また、対象物が透明の場合に接触型タイプを使用しても、触れれば形状が変化する可能性があるので上手に測定できません。何を測定したいのかについても、明確にしておいたほうがよいでしょう。
3.輪郭形状測定機の買取について
使わなくなった輪郭形状測定機でも、正常に稼働するものであれば「買取」が利用できます。処分費用を節約するためにも、ぜひチェックしてください。
3-1.買取事情について
輪郭形状測定機は精密な測定器なので、価格も安くはありません。できるだけ費用を抑えたい方にとっては、新品よりも安く手に入る中古を選択することがあります。そのため、測定機の中古需要は高い傾向があるのです。特に、新品状態に近く最新機能がついているタイプは需要も高くなるでしょう。一般的に、買取相場は販売額の約5~10%といわれていますが、もっと高くなる可能性もあります。具体的な買取額に関しては、査定を依頼しましょう。
3-2.買取してくれるところ・選び方
買取をしてくれるところは、輪郭形状測定機などの測定機を取り扱っている店舗・業者です。リサイクルショップ・買取専門店でも可能ですが、専門店に依頼したほうが適正価格で買い取ってもらえる可能性があります。リサイクルショップ・買取専門店には、測定機に詳しいスタッフがいませんので、適正価格よりも安い金額で買い取られるおそれがあるでしょう。また、業者選びに悩むときは、以下のポイントに注目してください。
- 測定機の販売・買取に実績があるか
- 幅広い種類の測定機を扱っているか
- スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
- 中古品の取扱量が豊富か
- 無料相談・無料査定を受けつけているか
- 古物商の許可を取得しているか
3-3.買取の方法と流れ
具体的な買取方法と流れは、業者によって異なります。ほとんどの業者では、出張買取を採用しているようです。測定機の中にはサイズが大きく、重量のあるものもあるため、出張買取のほうがスピーディーにすすめられるでしょう。また、主な流れは以下のとおりとなります。
- 電話またはホームページから無料査定の申し込みをする
- スタッフがやってきて、その場で査定を行う
- 提示した買取額に納得したら、契約→測定機の回収→買取額の支払いで完了
3-4.査定について
測定機での査定では、まず、正常に稼働できるか否かを確認します。きちんと機能を果たしていない測定機は買取不可と判断されるので注意が必要です。また、操作性に大きな誤差がないか、不具合が起きていないか、人気のある機能がついているかなど、さまざまな項目をチェックします。スタッフが査定を行っているときは、きちんと細部までチェックしているのか確認しましょう。査定額に納得できない場合は、キャンセルをしてもOKです。ただし、業者の中にはキャンセル料を請求する悪徳業者もあるので、注意しなければなりません。
3-5.高額査定のポイント
できるだけ、キレイな状態に近いほうがよいとされています。新品状態に近いものほど高く売れる傾向があるのです。ホコリ・汚れがついている場合は、やわらかい布でふき取りましょう。また、取扱説明書・保証書などの付属品を追加するのも大きなポイントとなります。できる限り、購入時の状態に近いほうが、高く売れるでしょう。
3-6.注意点
「買取の後、不法投棄されていた」「安い値段で買い取られた」など、業者との間でトラブルが起きています。トラブルが起きると、嫌な思いをすることになるのは自分です。悪徳業者に引っかからず、スムーズに購入・買取をすすめるためには、慎重に業者を選んでください。業者選びのポイントを踏まえた上で、複数の業者を比較すれば見極めることができるでしょう。
4.輪郭形状測定機に関してよくある質問
輪郭形状測定機に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.CMC制御の機種は、どんな測定に向いているのか?
A.ネジ山の形状・ミクロン台の薄膜など、微小な形状の測定に向いているでしょう。CMC制御を用いることで、一定の動作を安定して行えることもメリットの1つです。複雑な形状を測定したいときは、CMC制御の機種を使用しましょう。
Q.取扱時の注意点が知りたい
A.レーザータイプの機種を使用する場合は、使用環境に注意が必要です。ホコリがまっている環境の中で測定をすると、正確な数値が測れなくなるおそれがあります。また、高精度で正しく測定するためには、治具(じぐ)などを使用して測定機の上に正しく位置合わせを行わなければなりません。治具とは、加工・組み立ての際、部品・工具の作業位置を指示・誘導するための器具です。
Q.自動化を推進するオプションアイテムとは?
A.1つの測定面を何か所も測定できる「Y軸テーブル」、測定パーツの奥行き方向・回転方向を移動させて自動測定が可能な「回転テーブル」などがあります。これらを使用することで、測定しやすく明確な数値が分かりやすくなるでしょう。オプションアイテムも一緒に査定へ出せば、買取額がアップする可能性があります。
Q.定期的なメンテナンスは必要か?
A.繊細な測定機は、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。メンテナンスでは、校正を行います。正常に測定できるかどうかを、専門の校正器を使いながら確かめる方法です。個人でも校正器を購入すればメンテナンスはできますが、できれば専門の業者に任せたほうがよいでしょう。
Q.買取後はどうなるのか?
A.業者によって異なりますが、メンテナンスをして再販売するところがほとんどでしょう。再販売できないものは、部品ごとに分けて販売する方法もあります。買取後の行方が気になる方は、業者に確認してください。不法投棄のトラブルを防ぐためにも、確認しておきたい内容ですね。
まとめ
いかがでしたか? 輪郭形状測定機は形状測定機の1つで、対象物の輪郭・形状の測定ができます。備えつけられている触針で対象物に触れて数値化したり、レーザーを使って非接触で測定したりするなど種類によってさまざまです。購入を考えている方は、何を測定したいのか、何のために使うのかハッキリさせておきましょう。また、正常に稼働できるものであれば、専門業者で買い取ってもらえる可能性があります。買取サービスを利用すれば、費用をかけずに処分できるのでおすすめです。