位牌を処分する方法は? 処分前の注意点や処分の流れを紹介
位牌(いはい)は故人の魂が入っている仏具ですので、処分する前には供養を行わなければなりません。しかし、どうすれば供養できるのか、どこで供養をしてもらえるのか……疑問点や悩みを抱いている方は多いでしょう。位牌を正しく処分するためにも、きちんと知識を身につけることが大切です。
そこで、本記事では、位牌を処分する方法や処分前の注意点などを解説します。
この記事を読むことで、位牌の処分方法を選ぶポイントなども分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。
1.位牌の処分が必要になるのはどんなときか?
最初に、位牌の処分が必要になるのはどんなときなのか、チェックしておきましょう。
1-1.遺品整理
位牌の処分を検討するケースといえば、遺品整理が最も多いのではないでしょうか。故人の遺品整理をする際に、仏壇や位牌など仏具類をどうすればいいのか悩んでしまうものです。家に十分なスペースがあればいいですが、仏壇が置けない場合は仏具類をまとめて処分することを考えます。また、位牌の継承者がいない場合も処分をせざるを得ないケースといえるでしょう。位牌の処分は躊躇(ちゅうちょ)しがちですが、継承する者がいなければ処分するしかありません。
1-2.引っ越しや位牌が傷んだとき
一軒家からマンションやアパートに引っ越す場合、仏壇を置くスペースがなく位牌と一緒に処分するケースがあります。特に、最近は仏具を保管できる和室がない住居が多いようです。そのため、引っ越しを機会に仏壇と位牌を処分する方は多いでしょう。また、位牌が傷んでしまったため作り直しをするケースも古い位牌を処分しなければなりません。
1-3.弔い上げのタイミング
区切りのいい年を最後に、その後の年忌法要をやめることになりますが、この最後の法要を弔い上げといいます。弔い上げの法要は一般的に、三十三回忌や五十回忌などを目安に行うケースが多いでしょう。弔い上げをすると、故人の魂はご先祖さまの位牌と一緒に祀られることになるので、このタイミングで位牌を処分するケースもあります。
2.位牌を処分するにはどんな方法があるのか?
ここでは、位牌を処分する方法について解説します。
2-1.魂抜きを僧侶にお願いする
位牌を処分する前には、僧侶に魂抜きをお願いするのが一般的な慣習です。位牌を購入した際、故人の魂を位牌に迎え入れる「魂入れ」という儀式を行ったのではないでしょうか。魂入れをすると位牌に故人の魂が入ることになるため、処分をする前にその魂を抜き去る儀式「魂抜き」を行わなければなりません。ちなみに、魂抜きは閉眼供養やお性根抜きとも呼ばれています。基本的に、魂抜きは菩提寺に依頼することになるでしょう。菩提寺がなければ、近くのお寺で魂抜きを行っているか尋ねてみてください。
2-2.お焚き上げをしてもらう
魂抜きをした後の位牌はどうすればいいのか、悩んでしまう方は多いでしょう。魂抜きを行っているお寺の多くは、お焚き上げもしてくれます。お焚き上げとは、古いお守りやお札などをお清めの火で焼くことです。お清めの火で燃やすことで「浄化」する意味が込められています。魂抜きと併せて、お焚き上げも菩提寺にお願いするといいでしょう。
2-3.仏具店に依頼する
位牌を作り替える予定がある方は、仏具店に古い位牌の引き取りや処分を依頼するといいでしょう。大手の仏具店では、位牌の供養・引き取りサービスを行っています。位牌の供養から処分までまとめて引き受けてくれるので、スピーディーな処分ができるでしょう。また、購入と処分が同時にできるのも仏具店ならではのメリットです。ただし、供養と引き取りに料金がかかるケースもあります。その際はいくらかかるのかチェックすることが大切です。
2-4.遺品整理業者に依頼する
遺品整理で位牌を処分しなければならない場合、遺品整理業者に依頼するのも選択肢の1つです。遺品整理業者では供養してくれないのでは……と思いますが、中には供養から処分まで請け負っているところがあります。不用品回収業者は不用品を回収することがメインですので、遺品の供養を行っていないところが多いでしょう。けれども、遺品整理業者は遺品整理がメインになるため、遺品の供養サービスを受け付けているところが多いのです。ただし、遺品整理や供養には費用がかかりますので、見積書の内容をしっかりと確認してから依頼しましょう。
3.位牌の処分方法を選ぶポイントと主な流れ
ここでは、位牌の処分方法を選ぶポイントと主な流れを解説します。
3-1.費用相場で選ぶ
位牌の処分方法はさまざまですが、費用面で違いがあります。費用をなるべく抑えたい方は、費用重視で処分方法を選択するといいでしょう。あくまで目安となりますが、主な処分方法の費用相場は以下のとおりです。
- 寺院での魂抜き・お焚き上げ(御布施代):約1万~3万円
- 仏具店:無料~約1万円
- 遺品整理業者:約5,000~2万円
3-2.供養するかしないかで選ぶ
位牌を供養するかしないかで処分方法を選ぶのも選択肢の1つです。供養したほうがいいと説明しましたが、これは絶対ではありません。供養にこだわらない方の中には、自治体のゴミとして処分するケースもあります。位牌は燃えるゴミまたは燃えないゴミ扱いになるでしょう。処分費用をゴミ袋代くらいに抑えられます。けれども、位牌がゴミ捨て場に捨てられていると気分が悪くなる方が多いのも事実です。その点を考慮した上で処分方法を選択することも大切なポイントとなります。
3-3.そのときの状況で決める
位牌の処分方法を選ぶ際は、その場の状況をしっかりと考慮することも大切です。たとえば、急いで遺品整理をしなければならない場合、ゴミを分別したり運搬したりするために手間と時間がかかってしまいます。時間と手間をかけたくない状況なら、遺品整理業者に依頼したほうがスピーディーです。時間に余裕があるのならほかの処分方法を選択しても構いません。新しい位牌に取り換えるなら仏具店に依頼するなど、そのときの状況に合った処分方法を選びましょう。
3-4.遺品整理業者に依頼する流れをチェック!
処分方法によって処分までの大まかな流れは異なります。ここでは、参考として、遺品整理業者に依頼する流れを紹介しましょう。
- ホームページのフォームまたは電話で遺品整理業者に問い合わせる
- スタッフが整理作業をする部屋を確認し、無料見積もりを行う
- 見積書に納得すれば契約を交わす
- 希望日時にスタッフが訪問し作業開始
- 家財の搬出やクリーニング作業を行い、最後に部屋の状態を確認する
- 遺品整理で出てきた貴重品もしっかりと確認し料金の清算を済ませて完了
4.位牌を処分する際の注意点
ここでは、位牌を処分する際の注意点をいくつか紹介しましょう。
4-1.宗派・宗教のルールに従う
一般的に、位牌を処分する際は供養を行うことになりますが、宗派や宗教のルールによって変わる可能性もあります。たとえば、浄土真宗の場合、位牌に魂が宿っているという考え方はないので魂入れや魂抜きといった儀式は行いません。一部の例外を除いて、位牌は存在しないことが原則となっています。また、葬儀で使った白木の位牌を処分する場合は、法名・法名軸は過去帳に書き写してからお焚き上げを行うことになるでしょう。このように、位牌の処分は宗派や宗教のルールによって異なるため、事前の確認が必要です。
4-2.親族や関係者にしっかりと使える
位牌を処分する前に、親族や関係者などにしっかりと処分する旨を伝えておかなければなりません。これは遺品整理でよくあることですが、事前に伝えずに勝手に処分してしまった結果、親族トラブルになったという事例があります。遺品整理から親族トラブルに発展することはよくあることですので、十分に注意しなければなりません。親族をはじめ関係者にはきちんと処分する旨を伝えて、理解を得てから捨てるようにしましょう。
4-3.悪質な遺品整理業者に要注意!
近年は、遺品整理業者を依頼する人が増えていることから、不正を働く悪徳業者とのトラブルも増加しています。たとえば、遺品整理をした後に高額な追加費用を請求してきたり、遺品を雑に扱われたりするなどです。大切な故人の魂が入っている位牌だからこそ、丁寧に扱ってほしいと願うものでしょう。悪質な遺品整理業者に引っかからないようにするためにも、慎重に業者を選ぶ必要があります。どの遺品整理業者に依頼すればいいのか分からない方は、以下のポイントを参考にして依頼先を選んでください。
- 遺品整理の実績があるか
- 遺品整理士が在籍しているか
- スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
- 無料見積もりや無料相談を受け付けているか
- 料金設定が明確になっているか
- 見積書の内容が具体的に記載されているか
- 口コミや評判がいいか
5.位牌の処分に関してよくある質問
位牌の処分に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.位牌の主な種類は?
A.内位牌・本位牌・寺位牌の3種類が代表的です。それぞれの特徴は以下のとおりとなります。
- 内位牌:白木で作られた簡易的な位牌。野位牌とも呼ばれており、葬儀後から四十九日の法要で本位牌に取り換えるまで遺骨や遺影と一緒に飾ることが多い
- 本位牌:四十九日の法要までに作られる木製の位牌。金箔などが施された塗り位牌・黒檀や紫檀で作られた唐木位牌などがある
- 寺位牌:自宅に仏壇を設置できない場合、菩提寺や本山に安置してもらう位牌
Q.閉眼供養とは?
A.魂抜きと同じで、故人の魂を抜いて位牌の役割を終わらせる法要のことです。位牌を購入した際に開眼供養を行っていた場合、処分前には必ず閉眼供養をしなければなりません。開眼供養は故人の魂を位牌の中に入れる法要なので、閉眼供養をしっかりと行ってから処分しましょう。念のため、処分前に開眼供養が行われたか確認しておくと安心です。
Q.永代供養とは?
A.位牌を残したまま寺院や霊園などに預けて、供養を依頼する方法が永代供養です。自宅で仏壇や位牌を管理するのが難しい人・継承者がいないなどのケースに永代供養を依頼することが多いでしょう。永代供養は期限がないと思われる方もいますが、寺院や霊園によって期間が決まっているので注意してください。
Q.お焚き上げ業者と遺品整理業者の違いは?
A.お焚き上げ業者はその名前のとおり、お焚き上げだけを行う業者のことです。最近では、インターネットで簡単に依頼できるところもあり、専用の封筒やボックスを購入するだけで簡単にお焚き上げしたいものを送ることができます。そして、遺品整理業者は遺品整理だけでなく位牌など遺品の供養と処分まで、一括して依頼できるのが特徴です。遺品の整理や処分に悩んでいる方は、遺品整理業者に依頼することをおすすめします。
まとめ
位牌を処分する際は、供養が必要です。菩提寺があれば供養をお願いするといいでしょう。菩提寺がない場合は、近くのお寺で供養してもらえるか尋ねてみてください。故人の魂を祀る場所だからこそ、しっかりと供養して処分したほうが気持ちよく手放せます。不用品回収業者の中には、供養を行っているところもあるのでぜひチェックしてみてください。遺品整理で位牌を処分する場合は、遺品整理業者に依頼するとスムーズに処分できるでしょう。