水分計の原理や種類とは?どんなものが検査できるの?
水分計とは、物質の中の水分をはかる測定器です。
水分の量によって物質の品質や保存期間、さらに強度や味まで変わってしまうことは珍しくありません。
また、物質によっては見た目だけでは水分の量が分からないものも珍しくないでしょう。
今回は水分計の原理や種類をご紹介します。
中には「製品に触れずに水分の量をはかりたい」ということもあるのです。
しかし、そんなことは可能なのでしょうか?
答えは、この記事を読めば分かりますよ。
1.水分計とは?
水分計とは、物質に含まれる水分を計測する測定器です。
完全に水分を含まない製品というのはごくわずかでしょう。
特に、植物を原料とした製品やプラスチックをはじめとした石油製品は、水分の量によって品質が大きく変わります。
また、食物も同じです。米や麦をはじめとする穀物類は、水分が少ないので長期間の保存ができます。
また、補完する前に乾燥させて水分を飛ばすのです。
しかし、均一に乾燥ができていないと水分が多く含まれている部分から腐敗してくることもあります。
食べ物以外でも、水分が製品の中で均一に含まれていなと、強度に差が出たり腐敗しやすさが違ってきたりするでしょう。
ですから、水分計を使って製品の中の水分を検査することで、品質を一定に保つのです。
2.水分計の原理とは?
水分計には、電気の力を利用したものと赤外線の力を利用したものがあります。
電気の力を利用したものは、水分の電気抵抗をはかるものと静電気容量をはかるものがあるのです。
また、赤外線の力を利用したものは、赤外線に当たると水分子が振動する原理を利用します。
測定器はその振動のエネルギー量を計算して、水分量をはかるのです。
これならば、製品を壊したり分解したりすることなく、電気や赤外線を当てるだけで水分量がはかれます。
水分の計測というと、はかりのようなものをイメージする方も多いですが、水分計は光や電気を当てるプローブと測定装置からできているのです。
また、このほかにも、サンプルと試薬を反応させてその状態をはかる化学反応式水分計や、ハロゲンランプでサンプルを加熱して、水分を蒸発させてから質量をはかる加熱乾燥式水分計などがあります。
3.水分計を使う製品とは?
この項では、水分計で水分をはかることの多い製品とそれに使われる水分計の種類をご紹介します。
水分計を選ぶ際の参考にしてください。
3-1.プラスチック製品
プラスチック製品の原料は石油です。
ですから、一見すると固いように見えて水分がしっかりと含まれています。
プラスチック製品は水分が多すぎれば強度が下がるのです。
しかし、水分が足りなさすぎても乾燥してもろくなってしまうでしょう。
ですから、製品を作る際はサンプルの水分測定が欠かせません。
化学反応式や赤外線式の水分計が使われることが多いです。
3-2.紙類
紙類の原料は木材。
ですから、意外と水分が含まれているのです。
そかし、水分が多すぎると劣化が早いでしょう。
電気抵抗式の水分計やマイクロ波を利用した水分計を使って水分をはかることが多いです。
3-3.木材
木材は、もともと多量に水分を含んでいます。
それを乾燥させることによって建築材料として使うのです。
木材は種類によって水分の含有量が違います。
ですから、広範囲の水分の測定ができる電気抵抗式の水分計が使われることが多いでしょう。
3-4.穀物類
米や麦、豆類などの穀物類はほかの野菜と違って水分含有量が少ないのです。
また、米や麦は収穫後に乾燥をして水分を飛ばすことで、長期保管が可能になっています。
しかし、乾燥が均一に行われないと、水分が多く含まれているところから腐ってくる可能性があるのです。
さらに、米や麦は冷蔵で保存されることが多いですが、水分が多く含まれていると水分が凍って味が落ちます。
ですから、水分量を調べて適切な保管法を選ばなくてはなりません。
使われる水分計は過熱乾燥式水分計や、電気抵抗式水分計が使われることが多いでしょう。
3-5.コンクリートやモルタル
コンクリートやモルタルは、水分を混ぜて粘度を緩めてから使います。
その後、水分を自然乾燥することにより強度が増すのですが、水分が均一でないと強度不足になってしまうでしょう。
コンクリートやモルタルは、水分計が一番必要とされている製品なのです。
この測定に使われる測定器は「高周波水分計」といい、対象物に軽く押しあてるだけで、水分量が測定できます。
ですから、欠陥住宅の検査などにも使えるのです。
また、ハンディ―タイプなので、サンプルを採取する必要もありません。対象物のところに行って即測定できます。
4.水分測定器の選び方とは
では最後に、水分測定器の選び方をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
4-1.測定物によって選ぶ
前項でご紹介したように、水分測定器は計測する対象物によって異なる方法を用います。
複数のものの測定に利用できることもありますが、できるだけ正確な結果が測定できるものを選びましょう。
また、ものによってはサンプル品が取れないこともあります。
サンプル品が取れないものは、直接対象物に当てられるものを選びましょう。
4-2.オペレーターが必要なものか、いらないものかで選ぶ
水分測定器の中には、オペレーターが必要なものもあります。
オペレーターが必要な測定器は、それだけ細かな測定ができるでしょう。
ですから、より細かく正確な測定がしたい場合は、オペレーターが必要な測定器を選んでください。
その一方で、できるだけ早く測定をしたい場合は、オペレーターのいらない測定器を選んだ方が効率がよいのです。
たとえば、コンクリートやモルタルの測定をする場合は、ハンディ―タイプを利用することが多いでしょう。
その場合は正確さよりも早さが必要です。
また、大量の品物の検査をする場合も、早さを優先することが多いでしょう。
ですから、水分計を購入する際は、どのようなものをどのくらい検査したいのかを調べてから、オペレーターが必要なものか不必要なものかを選んでください。
なお、両方を購入して、まずおおよその値を検査してからより詳しい検査が必要なものを選び、オペレーターが必要な分推計で検査をしてもよいでしょう。
そうすれば、効率よく検査できます。
5.おわりに
いかがでしたか?今回は水分計の原理や種類についてご紹介しました。
水分計が必要なものは、さまざまです。
無機物から有機物まであるでしょう。
ですから、水分計を買う前に、どんなものをどのくらいの頻度で測定したいのか、考えておいてください。
なお、最近の水分計の主流はオペレーターを置かないハンディ―タイプです。
これは、誰でも手軽に検査が行えるメリットがある反面、正確な水分量を出しにくいデメリットもあります。
ですから、早さや手軽さだけでなく正確さも視野に入れて水分計を選んでください。
さらに、水分計は、驚くほど高額というわけではありませんが値段を見ずに買えるほど安価でもありません。
ですから、メインの水分計はあるけれどより検査できるものを増やすためにサブでもう1台欲しいという場合は、中古も視野に入れましょう。
検査機器は丁寧に使われるので、中古でも機能的には問題ありません。
特に、高価な品を安く手に入れられるチャンスでもあります。
ぜひ中古市場にも目を向けてください。