サーベイメーターの種類や原理とは?どんなものを測定できるの?
サーベイメーターとは、小型で持ち運びできる放射線測定器のことです。
2011年の東日本大震災で発生した原子力発電所の事故で、一気に注目が集まりました。
このことを覚えている方もいるでしょう。
そこで、今回はサーベイメーターの原理や種類についてご紹介します。
サーベイメーターは、原子力発電所の事故以来簡易的なものが爆発的に売れて、一部が品薄状態になりました。
しかし、放射線は正しい測定の方法と数値の見方を理解していなければ意味がないのです。
興味がある方はぜひこの記事を読んでみてください。
1.サーベイメーターとは?
サーベイメーターとは、携帯式の放射線測定器です。
放射線にはα線、γ線、中性子線などがありそれぞれ測定できるサーベイメーターが違います。
すべての放射線を一度に測れるサーベイメーターは存在しませんので注意してください。
ちなみに、サーベイメーターが測定できるのは放射線だけです。
放射能は測定できません。
放射線と放射能は混同されがちですが全くの別物です。
では、サーベイメーターで測定できる放射線とはいったい何でしょうか?
それを次の項でご紹介します。
2.放射線とはどのようなものか?
放射線とは、電磁波の中で最も波長が短いものを指します。
α線、γ線、X線、中性子線など波長の違いによっていくつかの種類があるのです。
放射線というと健康に悪影響を与える怖いものというイメージがあります。
それは間違ってはいません。
放射線を一定量以上体に浴びると体の設計図である染色体が傷つき、最悪の場合死亡することもあります。
しかし、ごく微量の放射線は宇宙から地上へ降りそそいでいるのです。
これを「宇宙線」といいます。
宇宙線の大部分は大気に吸収されるので地上へは届きません。
しかし、航空機内部やスペースシャトルや宇宙ステーションの内部では放射線の値が高くなっています。
また、放射線は私たちの生活の役にもたっているのです。
最も身近な放射線といえばX線でしょう。
レントゲンはX線を利用した医療機器になります。
また、α線やγ線などはがんの治療にも使われているのです。
さらに、原子力発電所でも放射線を発する放射性物質を利用して発電が行なわれています。
ちなみに、皆様が放射線と一緒にしがちな「放射能」とはこの放射線を出す能力のことです。
ですから、放射能自体は人体に影響を与えません。
放射能から発せられる放射線が人体に悪影響を与えます。
ちなみに、放射能は時間の経過とともに弱くなっていき、やがて「半減期」といって放射線を出す力が半分になるのです。
この放射線は、味も臭いも音もなく目にも見えません。
さらに、超強力な放射線でなければ即死するということもないのです。
しかし、放射線は長い時間をかけて人体に影響を与え、がんなどの病気の原因になるでしょう。
ですから、サーベイメーターなどが必要になるのです。
3.サーベイメーターの原理や種類とは?
この項では、サーベイメーターの原理や種類をご紹介します。
どのような原理で放射能が測定できるのでしょうか?
3-1.シンチレーション式
シンチレーション式サーベイメーターは、シンチレーターというX線とγ線に反応して微弱な光を発する物質を使って放射線量を測定します。
X線とγ線以外の放射線は測定できませんので注意が必要です。
3-2.GM管式
ガイガーミュラー(GM)計数管を使用して、β線、X線、γ線を測定できます。
ハロゲンガスなどを封入して電極を入れた筒の中を放射線が通過するとき、何回放電現象が起きたか、によって数値を測定するのです。
X線、γ線の測定精度はシンチレーション式よりも低いですが、β線を測定できるところが特徴になります。
3-3.個人線量計
こちらは、自分が今どのくらい被ばくしているのかを測定する機器です。
原子力発電所内など放射線量が高いところで作業をするときに、身につけて使います。
3-4.電離箱式
電離箱の中を放射線が通りぬけると、電子とイオンが電離します。
この特徴を用いて測定するのです。GM管式と同じようにX線、γ線β線などが測定できます。
4.サーベイメーターの使い方とは?
サーベイメーターの使い方の基本は、プロープ端子を放射線の測定をしたい対象物に向けて測定します。
ただし、一瞬で測れるわけではありません。
正確に数値が出るまで時間がかかるのです。これを時定数といいます。
サーベイメーターの単位はマイクロシーベルト毎時という単位です。
これが一定数を超えると自治体などに報告しなければなりません。
また、地面などを計測した場合は地面から何センチ離したところで計測、という風に記録が必要です。
さらに、サーベイメーターは半永久的に使えるものではありません。
精度が高いものほど、年1回程度の校正や点検が必要なのです。
これを行わないと、感度が使う度にさがってしまうでしょう。
5.サーベイメーターで測定できるものとは?
サーベイメーターで測定できるのは、物質の表面についた放射性物質です。
皆様が放射線の調査と聞いて思い出すのが、事故を起こした原子力発電所の付近で線量計を掲げているマスコミや調査員の姿ではないでしょうか?
あの後、個人で放射線の量を計測できる個人線量計が爆発的に売れ出し、一時はどこも品薄になりました。
現在は野菜や果物などの農作物を出荷する際に東日本の一部の県ではサーベイメーターによるチェックが続いています。
なお、前述したように放射線というのは通常でも宇宙から降りそそいでいるものなのです。
ですから、サーベイメーターで空気中を計測すれば放射線は測定できます。
そのときにパニックになったりしないように注意してください。
今は多くの自治体で放射線の量をモニタリングしています。その数値と変わらなければ安心しましょう。
また、一時高濃度の放射線がいろいろな場所で検出され、その度に話題になりました。
放射線が含まれている物質は決して少なくありません。
しかも、規制のゆるかったころは下町の工場でもそのような物質が使われていたのです。
ですから、極端に高い数値を観測してしまった場合は、「いつ、どこで、どのように」観測した結果かを添えて市役所に申し出てください。
6.おわりに
いかがでしたか?
今回はサーベイメーターの種類や原理についてご紹介しました。
今は、ご家庭にサーベイメーターがあるという方も少なくありません。
しかし、長い間使っていないサーベイメーターは劣化しますので、何年も点検に出していなサーベイメーターの値をうのみにするのはやめましょう。
また、サーベイメーターは割と値段が高いのです。
そのため、中古市場も形成されています。
サーベイメーターは割と高価なので中古でも需要があるのです。
サーベイメーターは一度に複数使うことも多いので「数が欲しい」という業者もあるでしょう。
その場合は質のよい中古品を使うと便利です。
さらに、長年使っていないサーベイメーターがある場合は、業者に引き取ってもらいましょう。状態がよければ売却も可能かもしれません。
また、サーベイメーターは正しい測り方をしないと正確な数値は出ないのです。
ですから、最初は練習をしてから本番にのぞむとよいでしょう。
なお、天然鉱石から放射性物質が出ているところは値(あたい)が高くなる傾向にあります。