光学顕微鏡の原理や種類は? 一般的な電子顕微鏡と何が違う?
顕微鏡とは、小さな物質を拡大して観察するときに使われている器具です。
学校で使ったことがあるという方も多いでしょう。
今回は、顕微鏡の一種である光学顕微鏡の原理と種類をご紹介します。
顕微鏡にはこのほかにも電子顕微鏡がありますが、その違いは何でしょうか?
また、光顕微鏡の購入を考えている方のために、選び方などもご紹介します。
光顕微鏡の購入を考えている企業や興味がある方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
1.光学顕微鏡とは?
顕微鏡とは、光学や電子を利用して対象物を拡大して観察する器具です。
単に「顕微鏡」というと、光学顕微鏡を指すことが多いでしょう。
光学顕微鏡とは、可視光線(太陽光、顕微鏡)をレンズによって結像して対象物を観察します。
顕微鏡は大きく分けて、光を供給し、光を集め、明るさを変えるという光学系の機能。
そして、新鋭な像を得て倍率を替え、ピントを合わせるといった観察光学系のふたつから成り立っています。
光学顕微鏡が観察物を拡大できるのは、対物レンズと接眼レンズというふたつのレンズが物質を拡大した虚像を作るため。
このようにふたつのレンズを用いた顕微鏡を複式顕微鏡といいます。
ちなみに、対物レンズだけで対象物を拡大する顕微鏡を単式顕微鏡というのです。
単式顕微鏡の原理を応用したのがビデオカメラなどのズーム機能になります。
光学顕微鏡で拡大できる倍率は、一般的には数十倍~数百倍程度、最高でも二千倍程度です。
2.光学顕微鏡のメリット・デメリットは?
光学顕微鏡は、可視光線を光源として利用します。ですから、自然光や蛍光灯の光があれば対象物を観察できるのです。
つまり、使う場所を選ばないということ。
また、顕微鏡自体もコンパクトにできますから、たとえば屋外や出張先にでも顕微鏡をもっていって対象物を観察することも可能です。
さらに、光学顕微鏡は可視光線を利用していますので、対象物の色を直接観察できます。
しかし、その一方で対象物の拡大に限界があるのです。
二千倍に拡大しても肉眼では観察できない物質はたくさんあります。
そのような物質を観察する場合は、電子顕微鏡などを用いましょう。
3.光学顕微鏡の種類は?
この項では、光学顕微鏡の種類をご紹介していきます。
学校で使うような顕微鏡を単眼顕微鏡といいますが、それ以外にもどのような種類があるのでしょうか?
3-1.明視野顕微鏡
光学顕微鏡の最も基本的なものです。
片眼で見る単眼式のものと両眼で見る複眼式のものがありますが、企業などで使われる顕微鏡は複眼式のものが多いでしょう。
標本を透過したり反射したりした光を観察するため、視野全体が明るく見えるのが特徴です。
3-2.暗視野顕微鏡
明視野では見にくいガラスなど、つるつるした面についた傷などを観察するのに適した顕微鏡です。
対物レンズに直接光を入れるのでなく、特殊な照明を側面から当てて、標本で散乱、解析させたものを観察します。
周囲は暗く、対象物だけが明るく見えるのが特徴です。
3-3.金属顕微鏡
落射照明型顕微鏡の別名です。
金属表面の観察に適した顕微鏡であり、対物レンズ側から光を観察物に当て、その反射光で観察をします。
3-4.双眼実体顕微鏡
正立体視野が得られる光学系を二組備えた顕微鏡です。
顕微鏡というと小さな対象物を観察することが多いですが、この顕微鏡は比較的大きなものを観察するときに用いられます。
その分倍率は低く、数十倍~数百倍にしか拡大できません。
製品の検査などに用いられることが多いでしょう。
4.光学顕微鏡の選び方
この項では、光学顕微鏡の選び方の一例をご紹介します。
光学顕微鏡は最も基本的な顕微鏡であるため、種類もいろいろあるのです。
ぜひ参考にしてくださいね。
4-1.観察する対象物で選ぶ
光学顕微鏡を選ぶうえで最も大切なことは、観察する対象物がきれいに見えるかどうかです。
いくら個値段の高い顕微鏡を購入しても、観察する対象物がよく見えなければ、使い物になりません。
ですから、メーカーに観察したい対象物をいえば、それに合った顕微鏡を勧めてもらえるでしょう。
4-2.観察する場所で選ぶ
ごく一般的な明視野顕微鏡を選ぶ場合は、対象物を観察する場所で顕微鏡を選ぶのも、ひとつの方法でしょう。
光学顕微鏡は値段によって性能が異なります。
やはり値段が高い物の方が、光源が少なくても像がはっきりと映るものが多いでしょう。
光源があまり確保できない場所で観察することが多い場合は、ある程度の値段を出した方が観察しやすい顕微鏡が手に入ります。
4-3.大きさで選ぶ
顕微鏡はいろいろな大きさがあります。光学顕微鏡の場合は電子顕微鏡よりも小さいですが、それでも持ち歩きに向いているものと向いていないものがあるでしょう。
持ち歩く機会が多い顕微鏡の場合は、できるだけ頑丈でコンパクトなものを選んだ方がいいですね。
また、学校で使用する場合はどうしても丁寧に扱うのが難しい場合もあります。
その場合は、値段よりも頑丈さで選びましょう。
4-4.中古の顕微鏡も視野に入れる
光学顕微鏡は、仕組みとしては決して複雑なものではありません。
光源も自然光を利用するので、丁寧に使えさえすれば20年、30年と使っても劣化することはあまりないでしょう。
また、顕微鏡のような機器は一般的に丁寧に扱われます。
ですから、中古品でも十分に役に立つでしょう。
たとえば、数が必要な場合は新品で購入すると予算が足らないということもあります。
そのような場合、一部を中古品にすることで予算内に収めることもできるでしょう。
また、持ち歩く場合はどうしても消耗品扱いになるケースもあります。
その場合も中古品を使えば、新しいものを気軽に買い替えやすいでしょう。
また、顕微鏡が不要になった場合も、買い取ってくれる業者がたくさんあります。
ですから、長年使っていた顕微鏡が不要になったという場合は、査定をしてもらいましょう。
顕微鏡は研究室以外にも使われることが多いので、引き取ってもらいやすいのです。
光学顕微鏡は開発された当時から基本的な構造は変わっていないので、古いものでも問題ないことが多いでしょう。
そのまま捨てるよりは誰かに使ってもらった方がよいのです。
今は、サイトで買い取りを呼びかけている業者もあります。
5.おわりに
今回は、光学顕微鏡の原理と種類についてご紹介しました。
光学顕微鏡は仕組みが単純な分、古いものでも問題なく使えます。
また、プレパラートなどを作るのが面倒という人向けに、最近は対象物をそのまま観察できる顕微鏡も出てきました。
電子顕微鏡の方が、より物質を拡大できますがそこまで拡大する必要がない、というものも多いでしょう。
ですから、電子顕微鏡を常に利用しているような場所でも光学顕微鏡が必要ということが多いのです。
また、光学顕微鏡はレンズが命。レンズが曇ってきたり破損したりしたら寿命と考えましょう。
学校の授業でもレンズはできるだけ触らないように、と教わった方もいると思います。
また、最近では撮影に適した3つレンズがある顕微鏡も販売されているので、顕微鏡に映った物体の写真が欲しいという場合は、購入を考えてみてください。
中古ならばお手ごろ価格で手に入るかもしれません。