投影機・実物投影機の選び方を教えます!投影機の基本情報をチェック
「投影機を購入したいけど、どんなものを選べばいいのかわからない」など、悩んでいる方は多いでしょう。投影機といっても使用目的や場所によって適切な種類が異なります。そのため、何を基準に投影機を選べばいいのかわからないものです。自分の目的に合ったものを選ぶためには、事前に投影機の基本情報を把握しておかなければなりません。そこで、本記事では、投影機とは何なのか、種類とその特徴・投影機の使い方など詳しく説明します。購入時のポイントについても触れていくので、一緒にチェックしていきましょう。
この記事を読むことで、目的に合った投影機を購入するために必要な情報を得ることができます。投影機について知りたい方や購入・レンタルを考えている方はぜひ参考にしてください。
1.投影機とは
購入・レンタルする前に、まずは投影機とは何なのか把握しておかなければなりません。しっかり基本情報を把握すれば、自分の目的に合ったものが選べます。そこで、投影機の定義や原理・必要性など詳しく把握しておきましょう。
1-1.定義
投影機は光学測定機の一種です。光学測定機とは、光のエネルギーや分光特性の測定をおこなう機器を指しています。光を物質に当てることで、光学特性を測定するものです。被検物の光学像を正確な倍率でスクリーンに投影することができます。つまり、対象物の輪郭形状や寸法を測定・検査できるのです。従来の投影機は対象物の輪郭を検査するために使用されていました。しかし、現在は測定機能が付属しているものも登場し、使用用途が幅広くなっています。
1-2.原理
ほとんどの投影機は「テレセントリック光学系」という原理が採用されています。テレセントリック光学系とは、レンズの焦点に小さな絞りを置き、主光線と光軸が平行になっている光学系のことです。たとえば、肉眼でものを見るとき、近づけば大きくなり、遠のけば小さくなります。そのため、正確な対象物の輪郭がわからなくなるのです。テレエントリック光学系は物体側の主光線が光軸と平行になっているため、焦点がズレて像がボケても高さは変わりません。つまり、対象物との距離が変わっても同じ大きさに見えるのです。よって、より正確な対象物の形状や輪郭が把握できます。
1-3.使用目的
投影機の使用目的は幅広いですが、一体どんな使い方があるのでしょうか。
1-3-1.使用場所
もともと、投影機は輪郭形状を検査するために造られたものです。主な使用場所は工場や研究所になります。電子・電機部品加工から樹脂加工・工具研磨・医療用品製造などあらゆる分野で活躍している機器です。また、プラネタリウムに使われるのも光学式投影機になります。写真や印刷物などを鏡に反射させてスクリーンに投影する「実物投影機」は、学校や会社などで使うことが多いです。
1-3-2.使用するとき
対象物形状の検査や星空の投影、写真やファイルなど小さいものを拡大してみせたいときに使用するなど投影機が活躍するシーンは幅広いです。また、研究・工場で使用する大型投影機だけでなく、小型タイプも登場しています。小型投影機を使えば、iPadやiPhoneと接続してホーム画面を投影することができるのです。
1-4.必要性
シネマ映写機やデータプロジェクターなど呼ばれている投影機は、スクリーンなどに対象物を投影できる機器でもあります。多くの人がいる前で書類や写真などを見せたいとき、プロジェクターと投影機を使えば大画面に対象物を映して説明できるのです。また、測定顕微鏡は接眼レンズをのぞかなければいけません。しかし、投影機は接眼レンズをのぞく必要なく複数の人が同時に観察できます。正確な形状の測定だけでなく、さまざまな分野で必要とされる機器といってもいいでしょう。
2.投影機の種類とその特徴
現在、多種多様な投影機が登場しています。主な種類として、「卓上タイプ」と「実物投影機」の2種類を紹介しましょう。一体、どんな特徴があるのでしょうか。
2-1.卓上タイプ
最もスタンダードな種類が「卓上タイプ」です。卓上タイプは投影スクリーン・投影レンズ・可動ステージ・ステージ移動ハンドル(XYハンドル)で構成されています。名前のとおり、机・テーブルなどの上に設置して、被検物の形状測定ができるタイプです。水産試験場における魚鱗(ぎょりん)の観察や銀行では小切手の照査などに使用されます。工場や研究所に置いてある大型投影機よりもサイズは小さいです。
2-2.実物投影機
実物投影機は、プロジェクターやテレビに接続して対象物を映し出す投影機の一種です。主に、教科書や資料・立体作品などを拡大したいときに使用します。別名「書画カメラ」や「OHC」とも呼ばれており、学校の授業や会社の会議によく使われているのではないでしょうか。私たちの生活に最も身近な投影機といえます。
2-3.そのほか
ほかの投影機としては「ポータブルタイプ」があります。ポータブルタイプは非常にコンパクトなサイズで、教育現場やプレゼンテーション時に役立つ投影機です。折りたたみ式になっているものが多く、持ち運びがしやすい点が特徴になります。ただし、工場や研究機関で使用される投影機と比べて精度は低いです。
3.投影機の基礎知識
投影機を上手に活用するには、正しい使い方を把握しておかなければなりません。主な使い方や投影機でできることなどをチェックして、上手に使用しましょう。
3-1.主な使い方
投影機の使い方は初心者でもわかりやすいです。まず、対象物をステージにのせます。そうすると、スクリーン上に拡大投影された対象物が映るでしょう。その像にスケールを当てて寸法を測ってください。XYステージを併用して移動量から寸法を測ることもできます。投影機の種類によっては、「対象はさみ式」という目盛りがあるので利用するといいでしょう。対象はさみ式は2本の読み取り線の間にある目盛りから長さを測ることができるものです。そして、実物投影機の場合は使用前に電源ケーブルとRGBケーブルを接続します。RGBケーブルはテレビ・プロジェクターと接続してください。後は映したいものをテーブルに置くだけです。テレビに接続するときは、テレビの入力を切り替えなければなりません。テレビ画面が「PC」または「RGB」などになっているかどうか確認しましょう。また、投影機によって若干使い方が異なります。取り扱い説明書があれば一読しておいてください。
3-2.投影機でできること
投影機でできることは主に3つ挙げられます。まず1つ目は、「細かいところが見やすくなること」です。小さいものはもちろんのこと、複雑なものの測定ができます。そのため、加工品や試作品の検査や教科書・書類をテレビに映すなど幅広い場所で活用できるでしょう。そして、2つ目は、「対象物を非接触で測定できること」です。対象物に触らずともテーブルの上に置くだけで測定できます。最後の3つ目は、「複数の人が同時に観察できること」です。投影スクリーンに対象物が表示されるので、一気に複数の人が確認できます。わざわざ1人ずつ確認する手間が省けるのです。
3-3.校正とは
投影機を長く使い続けるため、より正確な数値を測定するために「校正」が必要になります。校正とは、不具合を修正することです。投影機などの測定機器は長く使い続けていると不具合が起きます。正確な数値が測定できなくなるので、定期的に校正していかなければなりません。主に「倍率のチェック」をおこないます。基準スケールで目盛りの中心を測定し、倍率を変えながら器差を確認する方法です。器差とは、測定機の誤差を表す言葉になります。単体ゲージブロックや熱膨脹(ぼうちょう)係数付ゲージブロックなど、校正機器を使えば自分でもできるでしょう。不安な方は、測定機器の校正をおこなっている業者か、メーカーに依頼するといいですよ。
3-4.使い方の注意点
投影機を置くテーブルが傾いていると正確な数値が測定できません。使用する前にテーブル自体が傾いていないかどうか、きちんと確認してください。土台が安定しているかどうかが重要です。そして、投影レンズを交換する際は必ず保護手袋をしましょう。手垢(てあか)やホコリがレンズにつくのを防ぐためです。また、ロック解除ボタンを押すと急にレンズが落下する可能性があります。落下を防ぐために、しっかりレンズを保持しておきましょう。必ず、使用前に取り扱い説明書を読んでくださいね。
4.投影機購入時のポイント
投影機を購入する際、「どれを選べばいいのかわからない」と頭を抱える方は多いです。自分の目的に合った投影機を選ぶためにも、業者・商品選びのポイントなど把握しておきましょう。投影機の購入を考えている方は要チェックです。
4-1.業者・商品選びのポイント
投影機の種類によって、特徴が異なります。まずは、投影機の「使用目的」と「使用場所」を明確にしておきましょう。目的と場所がハッキリしていれば、適切な投影機を選ぶことができます。また、投影機を販売している業者選びも大切なポイントです。業者選びのポイントは以下の項目になります。
- 良心的な価格設定であること
- 業者スタッフの対応が迅速かつ丁寧であること
- 業者スタッフが豊富な知識を持っていること
- 点検・校正などアフターフォローが整っていること
- 販売業者として評判が良いこと
4-2.メーカーについて
投影機など精密測定機器のメーカーといえば「ミツトヨ」です。ミツトヨは投影機のほかに画像測定機・顕微鏡などの製造・販売から計測システム・データ管理などもおこなっています。ほかにも、キーエンスやニコンインステックが投影機の主なメーカーです。投影機を購入する際、それぞれのメーカーが販売している投影機を比較するといいでしょう。比較することで、どの種類が自分の目的に合っているかがわかります。下記にメーカーのURLを載せているので、ぜひチェックしてみてください。
4-3.価格について
投影機を購入する際、最も気になるのが「価格」でしょう。研究機関や工場などで使用する大型投影機は、およそ数百万円になります。精密で充実した機能が備わっているものほど高価です。卓上タイプでも数十万~になるでしょう。学校や会議で使用する実物投影機になれば、数千円~で手に入ります。できるだけ、費用を抑えたい方は「中古」を購入するのも1つの方法です。
4-4.中古・レンタルについて
「中古品はすぐに壊れる」「状態の悪いものばかり」と不安な気持ちになる方は多いでしょう。しかし、中古品を中心に販売している業者の中には、状態の良いものを扱っているところがあります。中古といっても新品に近い状態のものが購入できるのです。中古品を購入する際は、‟業者選び”が大きなポイントになります。【4-1.業者・商品選びのポイント】で紹介した項目に加え、「中古品の種類が豊富かどうか」「状態の良い中古品がそろっているかどうか」にも注目してください。また、一時的に投影機を使用したい方はレンタルがいいでしょう。しかし、長期間の使用であれば中古品のほうがお得です。
4-5.買取について
もし、不要な投影機があれば業者に買い取ってもらいましょう。投影機の中古品を取り扱っている業者では買取をおこなっているところもあります。買い取ってもらう際は、いくらになるのか必ず見積もりを確認してください。適切な買取価格でない場合、悪徳業者の可能性があります。悪徳業者に引っかからないためにも、投影機の価格をある程度把握することが大切です。
4-6.注意点
投影機など測定機器の中古販売業者は多数存在しています。中には、悪徳業者がいる可能性もあるので慎重に業者を選ばなければなりません。下記に当てはまる業者は悪徳業者の可能性が高いため、気をつけてください。
- 状態を明確にしないまま販売している
- 見積もりに不備な点が多い
- 必要以上に、購入するようあおる
- スタッフの対応が悪い
- スタッフが測定機器に詳しくない
- 購入後のアフターサービスがない
5.投影機にかんしてよくある質問
投影機にかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。
5-1.万能投影機とは?
万能投影機は被検物を正確な倍率でスクリーンに拡大投影しつつ、精密ステージやデータ処理装置などの組み合わせによって形状や寸法を観察・測定します。標準の投影機よりも、より精密に観察・測定できる検査機です。自動車・電子部品・工作機械など精密部品の測定・検査に使用されます。
5-2.投影機の校正周期は?
投影機の校正周期は、およそ6か月~3年です。投影機の種類によって校正周期が異なるため、購入前に必ず確認しておきましょう。
5-3.投影機修理の目安は?
スクリーン投影がゆがむ・測定数値が不安定・電源が入らないなど不具合・不調が気になり始めたらメーカー・業者に連絡してください。
5-4.投影機の保証内容における注意点
万が一、故障や不具合が起きたとき、どの程度まで保証を受けることができるのか業者に確認してください。購入前に保証内容は必ず把握しておかなければなりません。特に、中古品は新品と比べて故障・不具合のリスクが高まります。もし、同じ価格で販売している業者を見つけたら、保証内容で選ぶといいでしょう。
5-5.投影機中古品の値段はいくらか?
メーカーや需要の高さによって値段が上下します。人気が高いメーカーや状態の良いものになるほど、新品に近い価格になるでしょう。ただし、まったく同じものでも業者によって価格が異なります。いくつか業者を比較して、良心的な価格設定の業者を選んでください。安いからといって状態を確認せずに購入してはいけません。すぐに壊れてしまう恐れがあります。必ず確認してから購入を決めましょう。
まとめ
いかがでしたか?複雑で小さなものの形状などを測定するときに「投影機」が活躍します。投影機は精密機器の一種なので、定期的に校正・メンテナンスをしていかなければなりません。投影機を購入する際は、新品・中古品にかかわらず、アフターフォローや保証内容がしっかりしているかどうかを確認しましょう。また、投影機の使用目的や場所を明確にしておくと、適切な種類が選びやすくなりますよ。投影機の基本情報を把握して、信用できる業者から購入してくださいね。