ノギスにはどんな種類があるの? 使い方や購入・処分について
「ノギス」はDIYや機械加工現場・工事現場などで重宝されています。新しいノギスを購入する際、「どんな種類を選べばいいのかわからない」と悩んでいる方は多いでしょう。ノギスにはいろいろな機能がついています。そのため、きちんと種類を把握しておかなければ、自分の目的に合ったノギスを選ぶことができません。これから新しいノギスの購入を考えている方は、事前に種類などの基礎知識を身につけておきましょう。そこで、本記事ではノギスの基礎知識・種類・使い方・処分方法など詳しく説明します。
この記事を読むことで、自分の使用用途に合ったノギスを選ぶための知識を得ることができます。ノギスの種類について知りたい方やノギスの導入・処分を考えている方は必見です。
1.ノギスの基礎知識
新しいノギスを購入する前に、ノギスとは何なのか知ることが大切です。あなたの目的に合った種類を選ぶためにも、ノギスの構造や原理・使用目的などチェックしておきましょう。
1-1.ノギスとは
ノギスは測定器の一種です。穴の直径やものの厚さ・長さを100分の5ミリメートル単位まで精密に測定することができます。測定方法も外側測定から段差測定・深さ測定とさまざまです。17世紀からノギスの使用が始まり、最初はものをはさんで測定する機器でした。それから、いろいろな測定機能が追加されて今に至ります。ちなみに、段差測定をノギスに追加したのは、日本の測定機器メーカー「ミツトヨ」です。
1-2.ノギスの構造・原理
ノギスの構造は、「定規」と同じです。定規は主尺の目盛りだけですが、主尺だけでは測定範囲に限度があります。より細かく測定できるように、ほとんどのノギスには「副尺(バーニャ)目盛り」がついているのです。ほかにも、外側測定面のジョウ・内側測定のクチバシ・段差や穴の深さを測定するデプスパー・本尺目盛り・指かけ・ベースがついています。また、原理には、本尺と副尺の「差」が関係しているのです。まず、副尺をスライドさせながら測定物にあてます。副尺0の点と本尺目盛りから1ミリ以内切り捨てた値(1)を確定してください。そして、本尺と副尺の目盛りが一直線上にある点(2)を見つけます。そして、(1)と(2)の値の合計が測定物の径になるのです。
1-3.ノギスの使用目的
ノギスの使用目的は人それぞれ異なるでしょう。ここでは、改めてノギスでできることや使用場所・使用するシーンなど詳しく見ていきたいと思います。
1-3-1.ノギスでできること
ノギスは、測定物の外径・内径・深さ・段差が測定できる機器です。たとえば、丸い形をしている測定物の外径・内径を測る際、直尺では測定できませんよね。そこで、役に立つのがノギスです。対象物をジョウにはさむことで、簡単に外径・内径が測定できます。
1-3-2.使用場所
ノギスを主に使用する場所は、直尺や普通のものさしでは測定できないところです。円柱物など測定しにくいものが対象になります。主に、研究所や工場・作業現場などで使うことが多いです。一般人にとってもDIYするときなどに使用する方は多いでしょう。
1-3-3.使用するシーン
普通の定規は、目盛りの間隔が1ミリ単位になります。しかし、ノギスは本尺と副尺の2種類の目盛りを使って測定するのです。そのため、小数点以下の測定が可能になります。よって、より細かく、正確な測定をしたいときに使うことが多いでしょう。
1-4.必要性
ノギスなどの測定器は、ものづくりをおこなう際に重要です。ものづくりの原点は、「正しい寸法」といっても過言ではないでしょう。設計どおり、正確に測定しなければ品質が悪くなります。結果、不良品を完成品として消費者に届けることになるでしょう。安定かつ高品質の商品を生み出すためにも、ノギスは必要です。
2.ノギスの種類について
安定した製品を生み出すために必要なノギスは、現代、多種多様なタイプが登場しています。一体、どんな種類があるのでしょうか。主なメーカーと特徴についても説明します。
2-1.種類
主な種類として、「ダイヤルノギス」「デジタルノギス」「アナログノギス」の3種類があります。それぞれどんな特徴を持っているのか、メリット・デメリットについて見ていきましょう。
2-1-1.ダイヤルノギス
時計のような文字盤がついているノギスを「ダイヤルノギス」といいます。ダイヤルノギスは、バーニャ目盛りの代わりにダイヤルがついているタイプです。そのため、目盛りを時計と同じダイヤル読みができるようになっています。本尺と副尺の測定値を求めるのが苦手な方におすすめです。しかし、本尺の裏にある「ギアレール」がスムーズにまわせなくなると、ダイヤルも狂いやすくなります。ギアレールがついているダイヤルノギスはほかの種類よりも、工作時に切り子(きりこ)が入りやすいのです。
2-1-2.デジタルノギス
「デジタルノギス」は、測定値がそのままデジタル表示される、「電子ノギス」です。わざわざ測定値を計算する必要がなく、一瞬で測定できると多くの方が使用しています。また、数多くある種類の中でも安価です。しかし、2,000円以下で販売されているノギスは、使用用途が限られています。中には、深さ測定ができないタイプもあるため、デジタルノギスを購入する際は「機能性」に注目しましょう。
2-1-3.アナログノギス
昔から普及されているのが、「アナログノギス」です。最もスタンダードなタイプといってもいいでしょう。自分の目でしっかり確かめることができ、正確な数値が測定できます。しかし、本尺と副尺の計算をしなければなりません。計算が苦手な方や目盛りが見えない方にとっては、デメリット要素が大きいでしょう。
2-2.主なメーカーと各特徴
ノギスを取り扱っている主なメーカーは、「ミツトヨ」「新潟精機」「シンワ測定」です。特に、ミツトヨは国内シェア90%以上を獲得しています。それぞれメーカーの特徴を以下にまとめてみました。
- ミツトヨ:国内シェア率が最も高いメーカーであり、ほとんどの人が使用している。高品質。
- 新潟精機:耐久性・精度に優れている製品が多い。
- シンワ測定:コストパフォーマンスに優れている。アナログノギスの種類が豊富。
2-3.最近の傾向
近年、使用率が増えてきているのは「デジタルノギス」です。画面ですぐに測定値がわかるシステムなので、素早く作業ができると評判になっています。また、あらゆる機能がデジタルノギスについてきました。たとえば、「ホールド機能」と「ゼロスイッチ」です。ホールド機能は、ホールドボタンを押すことで表示されている測定値が保持できます。そして、ゼロスイッチはその場で基準点「0」にできる機能です。AとB、それぞれの穴の中心距離を知りたいとき、アナログノギスではわざわざ2つの穴を計測しなければなりません。しかし、ゼロスイッチを利用すれば2つの穴の距離がすぐデジタル表示されるのです。よって、手間と時間がはぶけます。
3.ノギスの主な使い方
購入したノギスを正しく使用するために、基本的な使い方をマスターしておきましょう。
3-1.基本的な使い方
ノギスの使い方は、「外径」「内径・段差」「深さ」と測定したい場所によって異なります。それぞれの使い方を簡単にまとめてみました。
- 外径測定:ジョウ(外側用ジョウ)の測定面で測定物をはさみ、スライダーを右にスライドさせながら測定する。
- 内径・段差測定:クチバシ(内側用ジョウ)の測定面で測定物をはさみ、スライダーを右にスライドさせながら測定する。スライダーのジョウの反対側を測定面にすると、段差測定が可能。
- 深さ測定:スライダーを後ろにスライドさせながらデプスパーを伸ばして測定する。本尺の端がデプスパーの基準値になるため、底面に当たるまで伸ばす。
3-2.基礎用語
ノギスを構成している8つの部位は最低限覚えておきましょう。それぞれ部位の役割を以下に記したので、ぜひチェックしてください。
- 外側用ジョウ(ジョウ):ノギスの下部についている。外径測定の際に対象物を挟みこむ
- 内側用ジョウ(クチバシ):外側用ジョウの反対がわについている。内径測定・段差測定の際、対象物を挟みこむ
- 止めネジ:スライダーを固定するためのもの
- スライダー:対象物の測定値を測るために横へスライドさせる部位
- 本尺:ベースに記載されている大きい目盛り
- バーニャ目盛り(副尺):スライダーの部分に記載されている小さい目盛り
- 指かけ:指をかける部位
- デプスパー:右の先端についている深さを測定するためのもの
3-3.注意点
ノギスで測定する際は、対象物に対して垂直にあてなければなりません。複雑な形状や測定しにくい場所の場合、ノギスがななめになる可能性があります。しかし、ななめに当たっている状態で測定すれば、正確な値がわかりません。そのため、きちんと垂直になっているかどうかを必ず確認してください。
4.ノギスの導入・処分について
新しいノギスを導入する際、古いものを処分しなければなりません。そこで、ノギスの導入・処分について詳しく説明します。
4-1.業者・商品選びのポイント
業者・商品選びは、最適なノギスを選ぶ大切なポイントです。ノギスを購入する際は、まず、「取扱量」に注目してください。種類が豊富で在庫が充実している業者ほど、選択肢が増えます。あなたの目的に合ったノギスが選択できるでしょう。商品選びにおいても、あらゆる種類を比較することが大切です。近年では、多種多様なノギスが出てきているので比較することでどんな種類が合っているのかわかります。
4-2.価格について
最も気になるのが、ノギスの価格でしょう。ノギスの価格は、1,000円~数万円と幅広いです。付属している機能や最小読取値によって異なります。最小読取値とは、ノギスで測定できる最小測定単位のことです。最小読取値が細かいほど、値段も高くなるでしょう。一般的なノギスは最小読取値が0.02ミリ~0.05ミリです。高い精度を求める場合は、最小読取値が0.01ミリのノギスを使います。
4-3.中古について
「できるだけ、安い値段で購入したい!」と考えている方には、中古のノギスがおすすめです。中古品といっても状態が悪いものばかりではありません。
4-4.レンタルについて
一定期間の利用であれば、レンタルするのも1つの方法です。レンタルの場合、新品購入よりも安い値段で済むでしょう。数日間~1週間程度の使用を考えている方は、レンタルのほうがお得です。1週間以上使用する場合は、中古品のノギスを購入したほうがいいでしょう。
4-5.買取について
もし、処分したいノギスがまだ使用できる状態であれば「買取」に出してみてください。状態がいいノギスほど、高価買取が期待できるでしょう。
4-6.注意点
用途に応じたノギスを購入するためにも、あなたの「使用目的」を明確にしておきましょう。使用目的がハッキリしないままでは、適切なノギスを選ぶことはできません。何のためにノギスを使いたいのか、また、どんな機能がついているのかしっかり確認してください。現在、ノギスにはさまざまな機能がついています。機能やデジタル・アナログ・ダイヤルそれぞれの特徴を把握したうえで選びましょう。
5.ノギスにかんしてよくある質問
ノギスにかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。ノギスの購入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
5-1.壊れたノギスの処分方法は?
ほとんどのノギスは金属製です。そのため、はさみやカッター類と同じ「小さな金属類」として自治体で処分することになるでしょう。自治体によってはごみの種類が異なります。事前にホームページなどで確認してください。また、ノギスの中にはプラスチックでできているものもあります。プラスチック製は燃えないごみに分類されるでしょう。
5-2.ノギスの校正とは?
ノギスの測定値を正常に保つためには「校正」が必要になります。校正とは数値の誤差や不備を正すことです。ノギスの校正には、標準器を使用します。メーカーでは、ノギスの校正をおこなっているのでぜひチェックしてみてください。メーカーに依頼したほうが正確な校正ができるでしょう。
5-3.ノギスの簡単なメンテナンス方法が知りたい
ノギスを長く使い続けるためには、メンテナンスが必要不可欠です。日常のメンテナンスをする際、以下のポイントに注目してください。
- スライダーの動きがスムーズかどうか
- 0点が合致しているかどうか
- 外側用ジョウの部分を光にすかしたとき、もれていないかどうか
- デプスターの目盛りが本尺と合致しているかどうか
5-4.デジタルノギスの精度はどのくらいか?
デジタルノギスは、測定者の技術やデジタル変換の誤差が考えられます。また、メーカーや機能によっても異なるため、必ずしも精度が高いとはいえません。精度が気になる方は、デジタルノギスで数回測定したり、マイクロメーターなどで測定したり工夫したほうがいいでしょう。マイクロメーターは、微小な長さなどを測定する器具です。
5-5.ノギス使用後の注意点とは?
ノギスを使った後、必ずきれいに掃除してください。特に、水分は本体にサビが出てくる要因の1つです。水分をやわらかい布でふき取り、防錆油(ぼうせいゆ)を薄く塗ると長く使い続けることができます。また、デジタルノギスを3か月以上使わない場合は、電池を必ずはずしてください。
まとめ
いかがでしたか? 定規や直尺で測定できない場合、ノギスが大活躍します。ノギスは、「外径」「内径」「段差」「深さ」と4つの測定ができる測定器です。1つのもので異なる種類の測定ができるとさまざまな場面で役立つでしょう。しかし、きちんと使用目的を明確にしておかなければ適切なノギスが購入できません。ノギスといっても機能やデジタル・アナログ・ダイヤルと多種多様です。何種類か比較してあなたに合ったタイプを選びましょう。