測定機器の顕微鏡の購入方法や基本的な使い方は?
顕微鏡は、光学的・電子的な技術を用いることでごくわずかな小さな物体を視覚的に拡大することができます。微小の対象物でも肉眼で見える大きさにできるのです。しかし、一般的な顕微鏡とは異なる顕微鏡があります。それが、「測定顕微鏡」です。測定顕微鏡は拡大した工具形状などを測定・検査することができます。目的に合った測定顕微鏡を選ばなければ、上手に使えません。そこで、本記事では、測定顕微鏡の基礎知識や使い方、購入・処分などについて詳しく説明します。
この記事を読むことで、目的に合った測定顕微鏡を選び、上手に使うことができます。詳しく知りたい方や購入を考えている方はぜひチェックしてください。
1.測定顕微鏡の基礎知識
目的に合った測定顕微鏡を選び、正しく使うためには基礎知識を身につけておかなければなりません。顕微鏡・測定顕微鏡の基礎知識や構造・原理・目的などについて説明します。
1-1.顕微鏡とは
世の中には肉眼で見ることのできない微小なものが存在しています。それらをハッキリと肉眼で確認するときに用いるのが顕微鏡です。光学的・電子的な技術を用いることで、微小な物体を視覚的に拡大できます。一般的に、顕微鏡は光学顕微鏡を指すことが多いのです。学生のときに行う実験で、顕微鏡を使ったことがある方も多いのではないでしょうか。光学顕微鏡以外にも、電子顕微鏡・走査型プローブ顕微鏡・X線顕微鏡・超音波顕微鏡などさまざまな種類があり、幅広い分野で活躍しています。
1-2.測定顕微鏡とは
測定顕微鏡は、対象物の測定を行う装置で、光学顕微鏡と精密可動テーブルが組み合わさっています。通常の顕微鏡とは異なり、対物レンズは正確な倍率に調整されているのです。また、直接対象物に触れずに測定できるため、傷つける心配はいりません。使用目的に応じて、種類を使いわけていきます。測定顕微鏡の種類については、後の【2-1.種類】にて説明するのでぜひチェックしてください。
1-3.構造・原理
基本的に、一般的な顕微鏡と構造に違いはありません。唯一の違いといえば、測定顕微鏡には測定データを表示する部分と像面にテンプレートが設けられています。測定データ表示部・対物レンズ・可動ステージ・ステージ移動ハンドル(XYハンドル)で成り立っているものです。原理は非常に簡単で、正確な倍率で対象物を拡大します。そして、像面に設けられたテンプレートと比較して測定・検査する原理です。
1-4.目的
測定顕微鏡は対象物の長さを測定するために用いられます。長さの測定には、測定範囲および精度において制限がありますが、高い性能ほど複雑な形状の長さが測定可能です。主に、研究分野やものづくりの現場などで活躍しています。
2.測定顕微鏡の種類などについて
測定顕微鏡といっても、さまざまな種類があります。ここでは、主な種類とメーカー・それぞれの特徴・細菌の傾向について見ていきましょう。使用目的に合った種類を選ぶためにも、特徴を把握しておかなければなりません。
2-1.種類
測定顕微鏡の種類は、工具顕微鏡・工場用測定顕微鏡・万能顕微鏡の3つが挙げられます。それぞれの特徴について見ていきましょう。
2-1-1.工具顕微鏡
工具顕微鏡は、測定顕微鏡の原点ともいえる装置です。機械工作物や工具の長さ・角度・輪郭などを測定できる測定器で、顕微鏡本体・測定物支持台・光学系・投影装置を備えています。工具を測定したいときに使うことが多く、現在でも幅広い分野で使用されている機器です。
2-1-2.工場用測定顕微鏡
工場用測定顕微鏡は小さな加工部品を測定したいときに用いる機器です。工場では、大きめの部品から細かいものまでたくさんのものを取り扱っています。中でも、小さな部品は肉眼で測定できません。そこで、役立つのが工場用測定顕微鏡なのです。工具顕微鏡よりも精度が高くなっています。
2-1-3.万能測定顕微鏡
「万能」という言葉がついているように、工具顕微鏡よりも広い用途に対応可能な顕微鏡です。大きな対象物の測定が可能であり、工具顕微鏡の容量と制度をあげた測定器だと思ってください。対象物の形状・角度などを測角(そっかく)接眼鏡で測定可能です。幅広い範囲で測定顕微鏡を使いたい場合は、万能測定顕微鏡が最適といえるでしょう。
2-2.主なメーカーと特徴
測定顕微鏡の主なメーカーといえば、ニコン・ミツトヨ・トプコンなどが挙げられます。中でも、ミツトヨは代表的な測定機器メーカーで、ノギス・マイクロメーターの日本国内シェア率9割を誇っているメーカーです。ニコンも測定顕微鏡に力をいれているため、幅広いラインナップをそろえています。トプコンは眼科向け医用機器や測量・GPSシステム製品を中心とした総合精密機器メーカーです。それぞれの製品を比較してみて、目的に合ったものを選ぶといいでしょう。
2-3.最近の傾向
以前は、測定顕微鏡用光学系の倍率を正確にするための仕様がよく見られました。しかし、近年は、倍率の正確さよりも、簡単に測定できる仕組みや高倍率観察・微分干渉・光学ヘッドを組み合わせたシステムが注目されています。また、デジタル画像撮影・高さ測定などのオプションも豊富です。従来よりも幅広い場面で使えるようになっています。
3.測定顕微鏡の使い方
正しく測定するためには、測定顕微鏡の基本的な使い方をマスターしておかなければなりません。使い方は種類によって異なりますが、大体は同じです。それでは、基本的な使い方と注意点について説明します。
3-1.基本的な使い方
現在は、簡単なやり方で測定できるタイプが多数登場しています。初心者でも気軽に扱えるものがたくさんあるので安心してください。基本的な使い方は以下のとおりです。
- 測定顕微鏡のステージに対象物をセットする
- 反射光または透過光を対象物に当てて、陰の境目を基準線に合わせて測定
- 表示された測定値が対象物の長さになる。計測値はCADデータとして出力可能
また、対象物によって透過照明や同軸落射(どうじくらくしゃ)照明などといった照明を使いわけます。使いわけることで、より正確な測定ができる仕組みです。
3-2.注意点
測定顕微鏡を正しく使うためには、使用上の注意点もきちんと把握しておかなければなりません。特に、注意してほしいのが使用する場の環境です。測定顕微鏡を使用する際、ホコリがたまっている場所などでは正確な測定ができません。清潔な環境で使いましょう。また、設置台は傾斜・振動のない場所が好ましいです。使用後はレンズにきちんとカバーをかけて、ホコリがつかないように気をつけてくださいね。
4.測定顕微鏡の購入・処分について
測定顕微鏡を購入したいけれど、どこで手に入れられるのかわからない方は多いことでしょう。どこに依頼すればいいのか、業者・商品選びのポイント、買取などについて詳しく説明します。
4-1.どこに依頼すればいいか
測定器の購入はメーカーのホームページや店舗などでできます。大手メーカーであれば、ホームページからカタログもダウンロード可能です。また、中古測定器の販売・買取事業を行っている業者にも依頼できます。
4-2.業者・商品選びのポイント
さまざまな種類がある測定顕微鏡から、どれを選べばいいのか悩む方は多いことでしょう。そんなときは、何のために使いたいのか「使用目的」を明確にしてください。たとえば、工場の細かい加工部品を測定したい場合は工場用測定顕微鏡、幅広い分野で使うのなら万能測定顕微鏡がおすすめです。後は、どのようなオプション機能がついているのか確認しましょう。使用目的を明確にすれば、ベストな商品を選ぶことができます。また、業者選びの際に押さえておきたいポイントを以下に挙げてみました。
- 測定顕微鏡の種類が豊富
- アフターフォローが充実している
- 丁寧かつスピーディーな対応
- 無料見積もりを行っている
- 抱えている在庫の量が多い
4-3.価格について
測定顕微鏡の性能や種類によって、価格は大きく変動します。簡易的なタイプであれば、4万~5万円で購入できますが、精度が高くなると50万~200万円と非常に幅広いのです。また、XYステージの移動・ピントなしで測定できる最新のものは、100万~500万円となります。使用目的や予算を踏まえたうえで、見積もりをチェックしておきましょう。
4-4.中古について
「最新機能を使わなくてもいい」「できるだけ費用を抑えたい方」などは、中古を選択するのも方法の1つです。中古品=古くて使えないものと思いがちですが、取扱量が多い業者は種類が豊富にそろっています。中には、最近登場してきたもので安く手に入ることもあるのです。中古品は一度使用したものですが、きちんと優良業者に依頼すれば正常に稼働できるものを安く購入できます。中古品の購入で大切なのは“業者選び”といえるでしょう。
4-5.レンタルについて
一定期間だけ使いたい場合は、レンタルという方法もあります。測定顕微鏡のレンタルを行っている業者が存在しているので、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。ただし、レンタルをする際は、期間や見積もり、追加費用に気をつけておかなければなりません。不注意や故意で壊れた場合は、弁償しなければならないこともあります。レンタルを使用する前に、注意事項をきちんと確認しておきましょう。
4-6.買取について
使わなくなった測定顕微鏡を処分する際、まだ使えるものをそのまま捨てるのは非常にもったいないことです。測定顕微鏡を安く購入したい方は多いため、買取を利用しましょう。正常に稼働できるもの、販売年数から5年以上経過していないものであれば、販売当時額のおよそ5%~10%で買取ってもらえる可能性があります。ただし、壊れているものや古いものは買取額がつかないこともあるでしょう。買取できるかどうか、業者に問い合わせてみてください。
4-7.注意点
測定顕微鏡を購入する前に、使用目的・予算・どのような現場で使うのか明確にしておきましょう。事前にきちんと決めておかなければ、あれもこれもと商品選びに手間がかかります。処分する際は、買取可能か査定に出して、買取額を確認しましょう。業者によって買取額も異なります。複数の業者に見積もりを出し比較するといいですよ。
5.測定顕微鏡にかんしてよくある質問
測定顕微鏡にかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。
5-1.テレセントリック光学系とは?
最近の測定顕微鏡には、テレセントリック光学系と呼ばれるものが採用されています。テレセントリック光学系とは、レンズの片側において光軸と主光線が平行とみなせる光学系のことです。そのため、焦点がズレて像がボケたとしても正確な測定ができます。
5-2.測定顕微鏡のお手入れ方法とは?
レンズをやわらかい布、またはベンジンをつけた綿棒で拭いてください。ベンジンつきの綿棒で拭いた後は、必ずやわらかい布でからぶきをしましょう。また、使用後はレンズにホコリがついていないかどうか確認するなど、日々のお手入れをすることが大切です。
5-3.測定顕微鏡の校正周期はどのくらいか?
自分たちでできるお手入れ以外にも、定期的に校正を行っていかなければなりません。測定顕微鏡の校正周期は1年~3年です。メーカーで校正の受けつけを行っているため、ホームページなどでチェックしてみてください。
5-4.測定顕微鏡を高く売るコツとは?
状態のいい測定顕微鏡ほど、理想的な買取額がつく可能性があります。高く売るためにも、日ごろのお手入れや校正が大切なのです。また、購入時についてきた取扱説明書などの付属品も一緒に提出しましょう。査定に出す前は、きちんとキレイに掃除してくださいね。
5-5.測定顕微鏡のアクセサリーとは?
交換用の対物レンズ・角度接眼レンズ・手元リセットスイッチ・測定台・デジタルプリンターなどが、測定顕微鏡のアクセサリーとして挙げられます。アクセサリーを取り入れることで、測定できる対象物や使用用途が広がるのです。
まとめ
いかがでしたか? 測定顕微鏡は、対象物を拡大して長さを測定できる装置です。工具の長さを測定する工具測定顕微鏡、細かい部品を測定できる工場用測定顕微鏡、測定範囲が幅広い万能測定顕微鏡など種類もたくさんあります。どんなときに使いたいのか、使用目的をハッキリしたうえで、複数の業者やメーカーの製品を比較してみてください。購入する際も、新品または中古品を購入するか、レンタルにするかで方法や費用が異なります。事前に、測定顕微鏡の基礎知識を身につけておけば、目的に合った種類を選び、上手に利用できるでしょう。