表面粗さ計ってどんなもの? 購入方法や測定のやり方など徹底解析
私たちが普段使っているものには、ざらざらしているもの、つるつるしているものなどさまざまな手ざわりのものがあります。これらの手ざわりや外観の違いは、その部分の表面の粗さが異なる証拠です。その粗さのことを“表面粗さ”といい、粗さ加減を測定する機器のことを“表面粗さ計(表面粗さ測定器)”といいます。加工品などのものづくりをするときには、必要不可欠な機器です。
そこで本記事では、粗さの基礎知識から表面粗さ計のメカニズム・購入方法などについて詳しく説明します。
この記事を読むことで、表面粗さ計の基礎知識を身につけることができ、目的に合った種類を選択し使うことができます。購入を検討している方はぜひチェックしてください。
1.粗さの基礎知識
用途に合った表面粗さ計を購入するためには、粗さの基礎知識を身につけなければなりません。粗さとは何なのか、どんな場合に必要なのか、詳しく説明します。
1-1.粗さとは
粗さとは、表面形状の尺度の1つです。物体の表面形状はざらざらしているもの、つるつるしているもの、なめらかなものなど、さまざまな種類があります。多種多様な表面形状の中でも、測定された表面形状のうち、短波長で空間周波数の高い成分が粗さになるのです。基準よりも摩擦が激しく、大きめの摩擦係数が特徴といえます。なめらかな表面よりも、手ざわりがざらざらしているほど、粗さが激しめになるでしょう。また、表面粗さのことを別名、線粗さ・面粗さともいいます。
1-2.粗さを測るとは
粗さを測るとは、部品の加工面の状態を測定することです。加工面の高さ・深さ・周期的な形状の粗さなどを測定します。粗さを測定するためには、専用の機器が必要です。最も多く使用されるのは、表面粗さ計でしょう。表面粗さ計を用いて、周期的・非周期的な対称面を測定します。また、粗さにかんする値は、表面形状(面)または輪郭曲線(線)に基づいて求められるのが一般的です。線粗さのパラメーターとしては、RaやRq、面粗さのパラメーターとしては、SaやSqなどが挙げられます。
1-3.どんな場合に必要か
表面粗さの大きい表面は、光の反射が鈍くなると同時にさわり心地がざらざらします。逆に、表面粗さが小さい表面は、鏡のように光が反射してつるつるしているものです。表面粗さの具合が異なれば、商品の質感・手ざわり・見た目が変わります。そのため、より高品質かつ安定した商品を生産するためには、粗さを一定に維持し続けなければなりません。つまり、粗さは商品の品質を管理する、重要な指標なのです。
2.表面粗さ計とは
では、表面粗さ計とはどのような機器なのでしょうか。粗さ計の基礎知識から表面粗さ計のメカニズム・目的・必要性について詳しく説明します。
2-1.粗さ計とは
粗さ計は、部品の加工面の状態を測定する機器です。加工面といえば、ざらざらしたもの、つるつるしたものなどが挙げられます。粗さ計の測定結果からは、粗さ曲線を知ることができ、指標と比較することで加工面の評価・指示ができるのです。また、粗さ計には接触式と非接触式があります。
- 接触式:触針を使用する
- 非接触式:レーザーなどを使用する
2-2.表面粗さ計とは
表面粗さ計とは、表面の粗さや形状を測定する機器です。具体的な表面を解析することで、より安定かつ品質のいい商品を生み出すことができます。現在は、さまざまな原理の測定機器が販売されているのです。こちらも接触式・非接触式の2種類にわかれます。接触式として代表的な種類は原子間力顕微鏡、非接触式として代表的なのはレーザー顕微鏡です。
2-3.メカニズム
表面粗さ計のメカニズムは種類によって異なります。たとえば、触針の先端が対象物の表面に直接触れる「接触式」は、触針で表面をなぞることで上下運動を電気的に検出する仕組みです。その電気信号を増幅・デジタル化して処理・記録します。一方、触針の代わりに光を用いる「非接触式」は、共焦点原理を利用することで対象物表面の凸凹を測定する仕組みです。共焦点原理はコンフォーカル光学系とも呼ばれており、レーザー顕微鏡の原理でもあります。
2-4.目的
表面粗さ計は、見た目ではわからない表面の粗さを数値で表すことができます。ものづくりの現場において、商品の品質管理には指標が大切です。その、1つの指標として重要となるのが、表面粗さ計になります。きちんと指標に合った表面粗さにすることで、品質管理が楽にできるのです。
2-5.必要性
粗さは表面の摩擦・摩擦特性とのかかわりが深い特徴を持っています。表面粗さで最も大きい値となるRaは、摩擦が大きく、スピードも速いのです。そのため、大きめの表面粗さを持つ商品は、十分に気をつけて扱わなければなりません。また、粗さ曲線のピークが接触点になるとは限らないのです。よって、表面形状・横幅や周波数などの波形も考慮しなければなりません。表面粗さはものづくりにおいて、とても必要な要素といえるでしょう。
3.表面粗さ計の種類や使い方などについて
使用目的に合った種類を選ぶためには、表面粗さ計の種類や基本的な使い方、メーカーによる特徴を把握しておかなければなりません。それでは、詳しく見ていきましょう。
3-1.種類
最初にお話したとおり、表面粗さ計を大まかに分別すると、接触式と非接触式の2種類があります。代表的な種類として、接触式表面粗さ・原子間力顕微鏡・白色干渉計・形状測定レーザーマイクロスコープ・ワンショット3D形状測定器について見ていきましょう。
- 接触式表面粗さ:触針を対象物の表面に触れさせることで測定する
- 原子間力顕微鏡:鋭い深針がついたカンチレバーを対象物より数ミリメートルの距離に近づけると、深針先端の原子と対象物の原子の間に原子間力が働く。その力を利用して対象物の凸凹を測定する
- 白色干渉計:対象物表面からある点までの光の距離に生じる差を利用して測定する
- 形状測定レーザーマイクロスコープ:照射されたレーザー光を利用して対象物の表面を測定する
- ワンショット3D形状測定器:対象物に縞(しま)模様の光を当て、そのゆがみ具合で凸凹を測定する
3-2.主な使い方・手順
表面粗さ計の使い方は種類によって異なります。そのため、購入前にカタログに記載されている取扱説明を読んでおかなければなりません。ここでは、接触式・非接触式それぞれの使い方・手順について説明します。
<接触式>
- 対象物をステージにセットする
- 検出器の先端についている触針が対象物の表面につくようにセットする
- 後は電源のスイッチを押すだけで計測可能
<非接触式>
- 測定部のXYステージに対象物をセットする
- 電源のスイッチを押して測定を行う
- 測定結果がコントローラー部→制御用PCにデータ化され、モニターに映し出される
3-3.メーカー・特徴について
表面粗さ計のメーカーといえば、ミツトヨが代表的です。ミツトヨは日本を代表する測定機器メーカーで、ノギス・マイクロメータの日本国内シェア率№1を誇っています。小型の表面粗さ計から、豊富な機能がついているタイプまでそろっているメーカーです。また、自動制御器・計測機器・情報機器・光学顕微鏡などを開発・販売しているキーエンスも挙げられます。幅広い測定器を扱っていることもあり、性能・品質ともに高評価を得ている企業です。
4.表面粗さ計の購入・処分について
表面粗さ計を購入する場合、どこに依頼すればいいのか、どの商品を選べばいいのか悩む方は多いことでしょう。そこで、購入・処分の方法やポイントなどについて説明します。
4-1.どこに依頼すればいいのか
ほとんどの場合、メーカーまたは商品を取り扱っている店舗などで購入することになるでしょう。メーカーのホームページでは商品情報が記載されており、カタログもダウンロードできます。また、中古測定器の販売・買取を行っている業者を利用するのも方法の1つです。
4-2.業者・商品選びのポイント
よりよい商品を選ぶためには、どんな対象物の表面粗さを測定したいのか明確にしておかなければなりません。また、データをすぐに表示したい方は非接触式のほうがスムーズに測定できるでしょう。どんなものを測定したいのか、どのような使い方をしたいのかによって、ベストな商品が選択できます。また、目的に合った種類を選ぶためには、業者選びも重要です。特に、押さえておいてほしい業者選びのポイントを以下にまとめてみました。
- 豊富な種類の表面粗さ計を取り扱っている
- 高品質かつ低価格で購入できる
- アフターフォローが整っている
- 丁寧かつスピーディーな対応
- ホームページに住所・固定電話番号が記載されている
- 無料見積もり・相談ができる
4-3.価格について
人それぞれ、予算が決まっていることでしょう。できる限り、予算内で表面粗さ計を購入したいですよね。そのためにも、平均価格を知る必要があります。表面粗さ計の平均価格は、50万~100万円と非常に幅広いのです。小型でハンドタイプのものであれば、50万円以内で購入できる可能性もあります。予算と比べながら、さまざまな商品を比較してみましょう。
4-4.中古について
「できるだけ安く購入したい」「予算を抑えたい」という方におすすめしたいのが中古品です。中古品は1度使用したものを再販売しているものですが、低価格で購入できます。しかし、中古品=すぐに壊れる・使えなくなると考える方は多いはずです。確かに、中には品質が悪いものもありますが、優良業者を選べば、よい質のものを通常販売額よりも安く購入できます。中古品の購入で大切なポイントは業者選びといえるでしょう。
4-5.レンタルについて
使用期間が決まっている場合は、レンタルを利用するのも方法の1つです。実際に購入するよりも、安い費用に抑えることができます。ただし、レンタル期間や追加料金の有無に気をつけておかなければなりません。長く使い続ける場合は購入したほうが効率的です。
4-6.買取について
使わなくなった表面粗さ計を処分する場合、どのようにすべきか悩みますよね。まだ、正常に稼働できるものであれば買取ってもらえる可能性はあるのです。買取可能になれば、処分費用をかけずに捨てることができます。
4-7.注意点
「早く購入したい」「処分したい」と、適当に業者選びをしてはいけません。最初から1社だけにしぼってしまうと、悪徳業者に依頼する恐れがあります。何のために使用するのか、どんな表面粗さ計が欲しいのか、改めて確認してください。そして、複数の業者を比較しましょう。
5.表面粗さ計に関してよくある質問
表面粗さ計に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.接触式・非接触式のメリット・デメリットは?
接触式のメリットは、明白な形状波形が得られること・長い距離の測定ができることです。デメリットは、触針が摩擦すること・測定時間が長いこと・粘着性のあるものは測定できないことになります。一方、非接触式のメリットは、対象物を傷つけないこと・測定時間が短いことです。そして、デメリットは、測定対象物の大きさが限定されていることが挙げられます。
Q.非接触式の測定時間はどのくらいか?
接触式よりも測定時間が早い非接触式も、種類によって異なります。レーザー顕微鏡の場合は、1,024×768の画像をスキャンすると、0.1秒かかるでしょう。3次元データ化にはおよそ10秒かかります。
Q.表面粗さ計のお手入れ方法は?
対象物を置くXYステージは常にキレイにしておきましょう。ホコリや汚れがたまっていると、正確な数値が測定できなくなります。使用後は、必ず、やわらかい布などでキレイにからぶきしましょう。
Q.表面粗さ計の買取額はいくらぐらいか?
表面粗さ計の状態や製造年月日・メーカー・性能などによって買取額が異なります。正常に稼働できる場合は、販売額のおよそ5%~10%になるでしょう。具体的な買取額については、業者に無料査定を依頼してみてください。
Q.買取不可の表面粗さ計とは?
壊れている・使えない・製造月月日から結構経過しているものは、買取不可になる可能性があります。査定に出す前に、正常に稼働できるかどうか確認してください。
まとめ
表面粗さ計は、対象物の表面の粗さを測定できる装置です。ざらざらしたもの、つるつるしたものと粗さはものによって異なります。目や手ざわりでしか確認できない粗さですが、表面粗さ計を使用すれば値としてわかるのです。ものづくりの現場においては、品質かつ安定したものを生み出すためにも、粗さの指標が大きなポイントとなります。メーカーや業者などで購入する際は、複数の商品やメーカーを比較したうえで用途に合った種類を選びましょう。事前に、基礎知識や購入ポイントをつかんでおけば、スムーズに購入できます。