粉塵計とはどのような測定器? 用途や購入・処分方法を解説します。
粉塵(ふんじん)とは、空気中に漂う土石・鉱物・金属・炭素などの細かい粒子の総称です。毎年春に大陸から風にのってくる黄砂やアスベストも粉塵の一種になります。粉塵は屋外の空気には大抵少量混じっているものです。しかし、空気中に多量の粉塵が混じっている場合、空気と共にそれを吸いこんでしまえば深刻な健康被害が出ることもあるでしょう。そのため、作業環境測定法施工規則やビル管理法によって、定期的な粉塵測定が義務づけられている場所もあります。この測定の際に使われるのが粉塵計です。
今回は、粉塵計の仕組みや購入・処分方法をご紹介しましょう。
この記事を読めば、粉塵計をお得に購入するコツや不要になったものを有効活用する方法も分かりますよ。粉塵計の購入や処分を考えている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.粉塵計って何?
粉塵計とは、前述したように空気中に含まれる粉塵の量を測定する機械です。
- 光散乱方式粉塵計(デジタル粉塵計)
- 光吸収方式粉塵計
- 電圧てんびん方式粉塵計
といった種類があり、主に閉鎖された空間(室内や坑内など)の粉塵を測定するために用いられます。大気中の粉塵を測定したい場合は、大気環境測定器が使われるのが一般的です。
空気清浄器をフル稼働させた特別な空間でない限り、空気には粉塵が混じっています。多少ならば吸い込んでも問題ありません。しかし、粉塵の中にはアスベストをはじめとして体に有害なものも珍しくないのです。粉塵を多量に長期間吸い込み続ければ、肺や気管支に悪影響がでることもあるでしょう。一例をあげると、中皮腫(ちゅうひしゅ)という病気がアスベストを吸い込み続けると発症することが分かっています。
また、高層ビルなどでは空調を通してビル内の空気を循環させてきれいにしているのですが、定期的なメンテナンスを怠っていると、空気中に含まれる粉塵の量が増えるでしょう。
そのため、高層ビルや粉塵が発生する可能性がある職場では、定期的に粉塵計を使って空気中に含まれている粉塵の量を測定し、記録することが義務づけられています。
2.粉塵計の使い方など
粉塵計の中で最も普及しているデジタル粉塵計は、空気中で粉塵がキラキラと光る現象(散乱光)の濃度を測ることで、粉塵の量を測定します。ですから、夜間や光源がない場所では測定できません。計測はスイッチを押せば行え、一か所につき1分程度で終わるので、複数の場所の粉塵を手っ取り早く調べたいというときに効果的です。ただし、粉塵の種類や正確な濃度を調べたい場合は、粉塵の収拾が必要なので注意しましょう。粉塵計はあくまでも「空気中にどのくらいの粉塵があるか」しか調べられません。
ちなみに、粉塵計で測定した数値は質量濃度という数値に置き換える必要があり、その時に必要な係数を「K値」と言います。K値を利用して求めた粉塵の濃度は、mg/㎥という単位で表されるのです。
3.粉塵計の購入・処分方法
この項では、粉塵計の購入方法や処分方法を解説します。どのような方法があるのでしょうか?
3-1.粉塵計を購入したい場合
粉塵計は、測定器を製造・販売しているメーカーで製造・販売しています。定期的な測定に使われる粉塵計は簡易測定器に分類され、価格は十数万円が相場です。インターネットで粉塵計を測定すると「マルチ環境測定器」なども候補に挙がりますが、法律で定められている環境測定は、粉塵計でないと行えません。マルチ環境測定器は、空気のきれいさを大まかに知りたいなどというときに使用しましょう。こちらの価格は1、2万円前後が主流です。
3-2.粉塵計のメンテナンス
粉塵計を購入したら、定期的に校正(メンテナンスのこと)が必要です。販売を行っているメーカーが校正を行ってくれることもありますし、校正を行う専門業者もあります。アフターサービスとして校正を一定期間行ってくれる業者から購入すれば、メンテナンス費用が節約できるでしょう。
3-3.粉塵計のレンタルについて
粉塵計は高価なうえにメンテナンスの費用もかかる精密機械です。定期的に検査をしなければならない職場ならば購入した方がよいのですが、数回だけ使用したいという場合はレンタルの方がお得でしょう。また、普段使っているものとは異なる粉塵計での測定が必要な場合も、レンタルは便利です。レンタルは専門業者が行っており、インターネットを検索すれば最寄りの業者が見つかります。
3-4.粉塵計の処分について
粉塵計は高価な測定器のため、中古市場も形成されています。定期的にメンテナンスも行われているため、中古で購入しても問題はありません。また、問題なく使用できる粉塵計が不要になった場合は、買い取り業者に査定をしてもらいましょう。皆様が思っている以上の価格で引き取ってくれるケースもあります。
また、中古の粉塵計は新品の値段の半額程度ですから、高価な粉塵計が必要な場合は中古品も視野に入れて探してみるとよいでしょう。ヤフーオークションのようなインターネットオークションにも、粉塵計は多数出品されています。
ただし、オークションに出品されている粉塵計の中にはメンテナンスが不十分のまま出品されているものもあるため、注意が必要です。掲載されている写真をよく確認し、必要ならば出品者に質問するなどしましょう。
4.粉塵計に対するよくある質問
Q.粉塵計が完全に壊れてしまった場合は、どうやって処分したらよいのでしょうか?
A.不燃ごみや金属ごみとして回収してもらえますが、メーカーが使える部品をリサイクルするために引き取ってくれることもあります。まずは、メーカーに問い合わせてみましょう。
Q.粉塵計でPM2.5を測定できますか?
A.デジタル粉塵計でしたら可能です。
Q.粉塵計は何年くらい使えますか?
A.部品が劣化しない限り使えますし、メンテナンスをおこなっていれば15年は使うことが可能です。
Q.粉塵計に記録装置はついていますか?
A.内部に測定結果を記録できるものもあるので、メーカーに問い合わせてみてください。
Q.年単位でレンタルできる粉塵計はありますか?
A.年単位のレンタルを行っている業者もありますので、インターネット等で探してみましょう。
5.おわりに
いかがでしたか? 今回は粉塵計のメカニズムや購入・処分方法について紹介しました。あまり測定する機会がなさそうな粉塵ですが、定期的な測定を義務付けられている場所は意外と多く、測定を仕事にしている業者もあります。そのため、粉塵計は中古でも一定の需要があるでしょう。また、粉塵計を売却できればそのお金で新しい粉塵計を購入することも可能です。粉塵計が不要になったという場合は、一度業者に査定を依頼してみましょう。思わぬ高額で引き取ってもらえることもあります。特に、元の値段が高価な粉塵計で、丁寧に使われているものは高値が付きやすいでしょう。