酸素濃度計の種類や使い方とは? 購入・処分方法についても解説!
密閉されたトンネルなど、酸素欠乏の恐れがある場所で作業する場合、酸素濃度計は作業員の安全確保に大切なアイテムとなります。酸素濃度計は、名前のとおり、酸素の濃度を測定する機器です。用途によってさまざまな種類に分かれているため、適切なものを使うためにはきちんと特徴をつかんでおかなければなりません。
そこで本記事では、酸素濃度計の基礎知識や種類・導入と処分方法などについて説明します。
この記事を読むことで、酸素濃度計の基礎知識を身につけ、目的に合った種類の購入や正しい処分ができます。詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
1.酸素濃度計の基礎知識
用途に合った酸素濃度計を使用するためには、知識を持っておかなければなりません。ここでは、概要や用途別の種類・測定の原理・目的・必要性について説明します。
1-1.酸素濃度計とは
作業現場などの酸素の濃度を測定するものを、酸素濃度計と言います。特に、トンネルやマンホールの中など、酸素欠乏の恐(おそ)れのある場所で用いることが多く、作業員の安全確保のために役立つ測定器です。人間にとって、酸素は生きるために必要なものであり、割合が少なくなると健康や生命維持に重大な影響をおよぼします。十分な酸素を確保するためにも、健康かつ快適に作業できる濃度かどうかを、濃度計を使用して確認するのです。
1-2.用途別の種類について
酸素濃度計には、血中酸素濃度・溶存酸素濃度などの用途別に種類を分けることができます。血中酸素濃度を測定する濃度計は、人間の血液に含まれる酸素を測定する測定器です。血中酸素濃度を知ることで、自分の体がどのような状態にあるのか分かります。健常者の血中酸素濃度は、96~99%といわれており、90%以下になると、呼吸不全と判断されるでしょう。痙攣(けいれん)が起きたときや登山するときなどに使用します。そして、水中に溶存する酸素の量を調べるときに使うのが、溶存酸素濃度計です。主に、環境測定を行う際に使用します。
1-3.測定の原理
酸素濃度計の測定原理は、測定方法によって異なります。主な測定方法は、ガルバニ式・ジルコニア式などが挙げられるでしょう。たとえば、隔膜式酸素濃度計の場合は、隔膜を拡散してセンサー内部に到達する酸素の電界電流を酸素濃度として表示する仕組みです。それぞれの具体的な原理については、【2-1.方式の種類について】で説明するのでぜひチェックしてください。
1-4.目的
酸素濃度計は、測定する場所にどのくらいの酸素が存在しているのか、正確に量を知りたいときに使います。主に、酸欠防止や酸素濃度管理で使用することが多いのです。酸欠防止においては、人の生命維持にかかわる監視機器として使用し、壁掛け型タイプや持ち運びできるコンパクトサイズのものを携行します。中には、危険濃度に達すると、ブザーやアラームが鳴るものもあるのです。また、化学工業・金属などの工業熱処理で酸素を嫌う工程では、酸素濃度管理が必要となります。適切な製品を生み出す、省エネルギー効果を高めるのも目的の1つです。
1-5.必要性
目的で説明したとおり、酸素の量が少ない場所では、作業員の健康・生命を守るために必要不可欠な測定器となります。空気中の酸素濃度が19%以下になると、鉱山保安法による最低酸素濃度とみなされるので要注意です。また、セラミックス部品や電子部品の製造・金属熱処理を行う際も、正しく過程をクリアするために必要なものとなります。
2.酸素濃度計の種類と使い方について
それでは、方式による種類や主なメーカーと特徴・基本的な使い方・注意点について説明します。
2-1.方式の種類について
酸素濃度計の測定方式は、ガルバニ式・ジルコニア式の2つに区別できます。それぞれの原理や特徴を以下にまとめてみました。
<ガルバニ式>
- 原理:陽極と陰極が接している電解液に隔膜を介して酸素を溶解させ、溶解した酸素量に比例した電流が発生します。隔膜を透過する酸素量は測定ガスの酸素分圧に比例するため、電流の測定によって酸素濃度が分かる測定方式
- 特徴:小型化・携帯が可能。ほかの方式に比べて低費用で購入でき、可燃性ガス中の酸素も測定できる
<ジルコニア式~濃淡電池式>
- 原理:ジルコニア素子の両面に多孔質の白金電極を貼りつけて加熱し、それぞれの面に酸素分圧の異なるガスを接触させると、酸素濃淡電池の作用が起きます。この作用によって、両電極間に起電力が発生し、酸素が測定できる仕組みです。
- 特徴:燃焼プロセス内に直接取りつけることで、サンプリング系が不要となり、応答時間が短縮できる
<ジルコニア式~限界電流式>
- 原理:高温に加熱したジルコニア素子の陰極側にある酸素の流入を制限することで、印加電圧を増加しても電流値が一定になる領域ができます。酸素濃度は限界電流に比例しているため、限界電流を測定して濃度を調べる方式です。
- 特徴:比較ガスが不要となり、直接挿入で使用可能
ほかにも、マンホールへ直接投げ込むタイプや装着タイプのリアルタイム酸素計など、さまざまな種類があるので比較してみると良いでしょう。
2-2.主なメーカーと特徴
酸素濃度計を製造しているメーカーといえば、新コスモス電機・理研計器・ミッシェルジャパン・アズワン・アスクルなどがあります。新コスモス電機はコンパクトサイズ・ポケットサイズの種類が豊富で、黄色のボディーになっているのが特徴です。理研計器は、酸素だけでなく、ガスも測定できる機能がついています。ミッシェルジャパンは、英国ミッシェル社の日本支社となり、ジルコニア式酸素濃度計や磁気式・デジタルトレースなども購入可能です。複数のメーカーを比較して、用途に合った種類を選びましょう。
2-3.基本的な使い方
具体的な使い方は、メーカーや種類によって異なります。気軽に持ち運べるタイプは、とても簡単な使い方となっており、初心者でも楽に使用できるでしょう。たとえば、電源を入れた後に電池容量を確認し、酸素濃度の調整を行います。測定したい場所に濃度計を持っていき検知を行い、測定後はきちんと電源を切っておかなければなりません。簡単な使い方を説明しましたが、種類によって異なるため、使用前に取扱説明書を確認してくださいね。
2-4.注意点
酸素濃度計を正しく使用するためには、定期的に電池残量を確認・点検しなければなりません。長期間使用しない場合にも、必ず確認してください。電池残量が少なくなると、電池の液漏(も)れが起こる可能性があります。残量が少なくなっている場合は、新しい電池に交換しましょう。また、種類によっては使用場所が限られている場合があります。急激な温度・湿度変化や大きな気圧変化に弱いものもあるため、きちんと適した場所で使ってください。
3.酸素濃度計の導入・処分について
酸素濃度計はどこで購入すれば良いのでしょうか。また、要らなくなった濃度計の処分にも困りますよね。そこで、導入・処分方法や業者・商品選びのポイント・価格などについてチェックしていきましょう。
3-1.業者・商品選びのポイント
状態が良く、用途に適した種類を購入するためには、業者・商品選びが大切です。業者を選ぶ際は、計測器を豊富に取り扱っている業者を選んでください。酸素濃度計はさまざまな種類があるため、豊富な種類を取り扱っているところほど比較しやすくなります。また、以下のポイントに注目して選ぶと良いでしょう。
- 丁寧かつスピーディーな対応
- アフターフォローが整っている
- 見積もり内容が細かく記載している
- 古物商許可を取得している
- 口コミ・評判が良い
また、商品を選ぶ場合は、どこで何のために使うのか「目的」を明確にしておきましょう。目的がハッキリしていれば、用途に合った種類を的確に選ぶことができます。優良業者は技術面における相談や商品選びのアドバイスを行っているので、悩んだときは相談してみてはいかがでしょうか。
3-2.価格について
酸素濃度計の平均価格は、1万~数十万円です。小型・携帯タイプのものは、1万円以内で手に入れることができます。一方、高性能で精密な測定をするものは、数十万円かかる可能性が高いでしょう。種類・性能・メーカー・機能・サイズなどによっても異なるため、価格も比較してください。
3-3.中古について
できるだけ、安い費用で手に入れたい方は、中古品がおすすめです。中古品=状態が悪い・すぐに壊れるイメージがあるかもしれませんが、きちんとした業者を選べば問題ありません。
3-4.レンタルについて
短期間の使用であれば、レンタルを利用するのも選択肢の1つです。購入費用よりも安く済むことがメリットですが、レンタル期間が長くなるほど費用がかかります。レンタル期間を考えながら、購入価格よりも抑えられるのか比較してください。また、レンタル中の故障や不具合など、状態によっては修理費用を負担しなければならないこともあります。レンタルを利用する前に、契約内容を確認しておきましょう。
3-5.処分・買い取りについて
まだ、使えるにもかかわらず、要らなくなった酸素濃度計をそのまま処分するのはもったいないことです。正常に使用できるものは、買い取りを利用してください。
3-6.注意点
「見積もり内容とは異なる費用を請求された」など、業者との間でトラブルになるケースが増えています。トラブルを防ぐためには、慎重に業者を選ばなければなりません。少しでも不安要素がある場合は、利用しないように注意してください。もし、トラブルになったときは、すぐに国民生活センターか、または消費者センターに相談しましょう。
4.酸素濃度計に関してよくある質問
酸素濃度計に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
4-1.付属している機能とは?
酸素濃度計についている機能は、さまざまです。たとえば、記録計への出力・濃度が低いときに警報を出す機能や自動的に調整を行う自動エアー調整機能・デジタル表示機能などがあります。用途に適した機能かどうかをチェックするのも大切なことです。
4-2.定期的な校正は必要か?
計測器は、定期的な校正が必要です。定期的に公正を行うことで、的確な数値が表示できます。校正方法は種類によって異なり、ジルコニア式のセル起電力は、ネルンスト式とよばれる方法を用いて校正を行うのです。適切な校正を行うためにも、業者やメーカーに依頼したほうが良いでしょう。
4-3.測定誤差になるシーンとは?
誤った使い方をしてしまうと、測定誤差が生まれます。たとえば、ジルコニア濃淡電池式の場合、測定ガス中に可燃性が含まれていると誤差が生まれやすいのです。ジルコニア限界電流式の場合は、測定ガス中にダストがあると、陰極側の気体拡散孔がつまって測定不能となります。
4-4.酸素濃度計の買い取り額はいくらぐらいか?
基本的に、中古の買い取り額は、販売当時額のおよそ5~10%といわれています。新品状態に近く、人気メーカーやタイプ、傷や汚れの有無などが買い取り額を決める査定ポイントです。高く売りたい方は、複数の業者に査定を依頼して比較すると良いでしょう。
4-5.査定額アップのポイントが知りたい
査定を依頼する前に、取りのぞける傷や汚れをキレイにしておきましょう。新品状態に近いものほど高く売れる可能性があるため、キレイにすることも大切なポイントです。また、ケーブルや取扱説明書などの付属品も一緒に提示してください。
まとめ
酸素濃度計は、空気中や水中・血液中などの酸素を測定する機器です。トンネルやマンホールの中など、酸素欠乏の恐(おそ)れがある場所では、コンパクトサイズの酸素濃度計が大活躍します。酸素濃度管理をきちんと行うことで、作業員の健康・生命を守ることができたり、質の良い製品を生み出したりできるのです。酸素濃度計にもさまざまな種類があるため、それぞれの特徴をきちんと把握しておかなければなりません。業者や商品選びのポイントなども、きちんと把握することで用途に合った種類を正しく使うことができます。