レーザー顕微鏡の購入・買取方法とは? 選び方や査定のポイントなど
顕微鏡の1種である「レーザー顕微鏡」は、レーザー光線を用いて対象物の形状を細かく測定します。従来の顕微鏡はレーザー光ではなく、レンズを用いていました。20世紀に入ったころからレーザー光が使われるようになり、より高いコントラストの画像を得ることができたのです。用途に適したレーザー顕微鏡を購入するためには、基礎知識を身につけておかなければなりません。また、要らなくなったレーザー顕微鏡でも、まだ使用できる状態であれば「買取」が選択できるでしょう。本記事では、レーザー顕微鏡の基礎知識・主な種類・買取方法などについて説明します。
この記事を読むことで、レーザー顕微鏡の購入・処分に必要な知識を得ることができます。検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1.レーザー顕微鏡の基礎知識
用途に適したレーザー顕微鏡を購入するためにも、基礎知識を身につけておかなければなりません。ここでは、構造・原理、目的・主な用途、使い方、必要性について説明します。「レーザー顕微鏡についてよく知らない」という方は要チェックです。
1-1.顕微鏡とは
光学的または電子的な技術を用いることによって、微小な物体を視覚的に拡大する装置が「顕微鏡」です。一般的に、光学顕微鏡を指しており、可視光線などを利用して肉眼で見える大きさに拡大できます。光学顕微鏡にも、実体顕微鏡・蛍光顕微鏡・レーザー走査顕微鏡・共焦点レーザー顕微鏡と種類は多種多様です。また、ほかにも、電子顕微鏡・走査型プローブ顕微鏡・X線顕微鏡・超音波顕微鏡など種類がたくさんあります。
1-2.レーザー顕微鏡とは
さまざまな種類がある中、レーザーを用いた顕微鏡のことを「レーザー顕微鏡」といいます。代表的な種類は、レーザー走査顕微鏡と共焦点レーザーの2つです。どちらともレーザービームを使用しています。それぞれの特徴をチェックしておきましょう。
1-2-1.レーザー走査顕微鏡
光源としてレーザーを使用し、小さくしぼったレーザー光スポットで測定試料を走査しながら照射します。走査とは、テレビカメラなどの画像を多くの点・線状に分解し、それぞれの色度・色相・輝度などを順次に電気信号に変換することです。そして、透過光や後方散乱光の強度を検出し、光学顕微鏡像を得ます。
1-2-2.共焦点レーザー顕微鏡
共焦点レーザー顕微鏡は、高解像度のイメージと3次元情報の再構築が可能な顕微鏡です。焦点距離がバラバラになるような厚い試料であっても、ボケのない像を得ることができます。レーザー共焦点光学系を用いているからこそ、高コントラストの画像が得られるのです。
1-3.構造・原理について
レーザー顕微鏡の基本は、コンフォーカル(共焦点)光学系です。コンフォーカル光学系は、対物レンズの焦点位置と同じ位置に、円形の開口を持つピンホールを配置しています。そのため、焦点の合った位置だけに光を検出することができるのです。一方、通常の光学顕微鏡は決められた領域を均一に照らすことが重要となります。しかし、コンフォール光学系の場合は、点光源から出た光が対物レンズによって、サンプルの1点に集光するように照射する仕組みです。よって、周辺からの不要な散乱光がなく、より精度の高い像を得ることができます。
1-4.目的・用途について
対象物に触れず測定できるレーザー顕微鏡は、顕微鏡自体の目的である「観察」はもちろんのこと、3次元画像を活用してさまざまな測定ができます。代表的な用途は、良品・不用品、評価前・評価後の差を確認する工程です。レーザー顕微鏡を用いて、良品と不良品を比較し、どこに不良が発生しているのか検査します。その差をいち早く知ることで、ものづくりにおける作業全体の段取りが向上するのです。
1-5.主な使い方
レーザー顕微鏡の使い方は簡単です。対象物を置く台の上にサンプル(試料)をセットするだけで、すぐに観察・測定を始めることができます。電子顕微鏡の場合は、事前に、サンプルを切り出さなければならないこともありますが、レーザー顕微鏡では必要ありません。具体的な使い方に関しては、取扱説明書をきちんと読んでおきましょう。
1-6.必要性・メリット
レーザー光を用いているため、サンプルに接触せずに観察・測定が可能です。直接触れるタイプのものでは、サンプルが傷ついてしまうおそれがあります。繊細でやわらかいものを傷つけることなく顕微鏡を使うことができるのです。また、サンプルのわずかな凸凹(でこぼこ)でも、サブミクロン精度で高さ検出ができるレーザー顕微鏡も登場しています。従来の顕微鏡よりも精度の高い観察・測定が可能です。
2.レーザー顕微鏡の主な種類など
レーザー顕微鏡には、どのような種類があるのでしょうか。メーカーとその特徴・価格・最近の傾向についても説明します。
2-1.種類
レーザー顕微鏡といえば、共焦点レーザー顕微鏡とレーザー走査顕微鏡の2種類です。【1-2.レーザー顕微鏡とは】で説明したとおり、それぞれ特徴が異なります。どちらかというと、共焦点レーザーのほうが一般的でしょう。高い分析能力での観察と、精度の高い3D測定ができるメリットがあります。
2-2.主なメーカーと特徴について
オリンパス・キーエンス・ニコンの3社が主なメーカーです。キーエンスはレーザー顕微鏡を含めた顕微鏡・計測機器・情報機器などを中心に製造・販売を行っています。オリンパスとニコンは、一眼レフカメラなど光学機器・電子機器のメーカーとして有名ですよね。購入する際は、それぞれの製品を比較すると、特徴が分かります。
2-3.価格について
レーザー顕微鏡の価格は、約100万~500万円と幅広い傾向があります。メーカーや機能などによって価格が異なるので注意してください。何のために使うのか、用途を明確にしてから価格もチェックしていきましょう。
2-4.最近の傾向
最近のレーザー顕微鏡は、観察・測定の技術が向上しています。たとえば、共振型ガルバノミラーと呼ばれるミラーです。これは、1秒に30枚程度の画像を取得することができる特徴があります。速く撮ろうとすると、画素数を少なくするなどの工夫が必要でした。しかし、共振型ガルバノミラーによって、簡単に撮影ができるようになったのです。次から次へと最新技術を用いたレーザー顕微鏡が登場しています。
2-5.注意点
レーザー顕微鏡で大まかにピントを合わせた後は、最後の微調整をレーザー光で行わなければなりません。最低出力としたレーザーを照射し、スポットサイズが最小になるようにステージを調整してください。しかし、測定をくり返していると、試料を動かしていなくてもレーザー光の熱によって、焦点がズレてしまうことがあります。そのため、測定前には、必ずレーザー光の焦点が合っているか確認しなければなりません。
3.レーザー顕微鏡の買取について
要らなくなったレーザー顕微鏡をそのまま処分するのはもったいないことです。まだ、使用できる状態であれば、「買取」が利用できる可能性があります。
3-1.買取事情
レーザー顕微鏡は繊細な測定器なので、約100万円以上もします。そのため、中古品の購入を検討する方が増えているのです。中古品の中でも、質がよく新品状態に近いものもあります。中古品としてのレーザー顕微鏡は需要が高く、人気も集まっている状態です。特に、機能が充実している最新式のレーザー顕微鏡は、高く売れる可能性があります。
3-2.買取してくれるところ・選び方
リサイクルショップ・買取専門店など、買取してくれるところはたくさんあります。おすすめしたいのは、レーザー顕微鏡などの測定器を専門に扱っている店舗です。測定器専門店は、ほかのお店よりも詳しい知識を持っています。そのため、適正価格での買取が可能です。また、どの業者に依頼すべきか悩むときは、以下のポイントに注目するとよいでしょう。
- スタッフの対応が丁寧でスピーディー
- 測定器の種類が豊富にそろっている
- 中古品の取扱量が多い
- 中古品の販売・買取を行っている
- 無料相談・無料見積もりを受けつけている
- 古物商の許可を取得している
3-3.買取の方法・流れ
具体的な買取の方法と流れは、業者によって異なります。レーザー顕微鏡は精密機器の1つで、中には重いものもあるでしょう。そのため、出張買取を利用するケースがほとんどです。業者スタッフが直接やってきて、その場で査定を行います。レーザー顕微鏡以外にも処分したい測定器があれば、まとめて買取してもらえるでしょう。
3-4.査定について
正常に使えるか、不具合・故障が起きていないかなど、査定ではさまざまな項目をチェックします。故障しているものは買取不可となる可能性が高いので注意してください。基本的に、問題なく使えるものが、買取対象となります。
3-5.高額査定のポイント
できるだけ高く売りたい方は、以下のポイントに注目してください。
- 取扱説明書・部品などの付属品を用意する
- 汚れやホコリなどを取りのぞいてキレイにする
- メーカー・製造番号・製造年月日などをメモしておく
人気のあるメーカー・種類ほど、高く売れる可能性があります。また、高く売るために、複数の業者へ査定を依頼しましょう。その中から高額の買取額がついた業者を選ぶことができます。
3-6.注意点
「買取後、不法投棄されていた」「適正額よりも安く買い取られた」など、業者との間でトラブルが多発しています。トラブルを未然に防ぐためには、業者選びのポイントを押さえた上で見極めなければなりません。
4.レーザー顕微鏡に関してよくある質問
レーザー顕微鏡に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.共焦点レーザー顕微鏡の2次元走査とは?
A.観察対象の平面画像を得るための走査です。主に、共焦点レーザー顕微鏡で行い、2つの方式があります。1つ目は「サンプル走査方式」です。観察対象の表面のうねりを捉え広範囲を画像化できますが、取りこみに時間がかかります。2つ目は「レーザー走査方式」です。レーザービームをさまざまな方向に当て、サンプル上を2次元走査します。微細な形状を捉えることが可能です。
Q.共焦点レーザー顕微鏡はどんな検査に使用されるのか?
A.たとえば、プリント基板の検査に使われます。私たちが毎日使用しているスマートフォンは、内部にプリント基板が使われているのをご存じでしょうか。プリント基板は、小さい・薄い・軽いの3点が求められます。プリント基盤の検査では、共焦点レーザーを用いて、限られた面積と高さの範囲に必要な回路が配置されているのか確認するのです。
Q.3D測定レーザー顕微鏡とは?
A.サブミクロンレベルの微細形状・表面粗さを高精度に測定できる顕微鏡です。サンプルの表面をレーザー光でスキャンすることにより、より細かい形状測定が可能となります。ナノに迫る微小段差が検出可能になったので、測定性能が大幅に向上しました。
Q.買取額はいくらぐらいになるのか?
A.一般的に、買取額は販売額の約5~10%といわれています。しかし、あくまで目安となるため、具体的な金額は業者に問い合わせてください。なぜこの値段になったのか、具体的に説明してくれる業者は信用できるでしょう。
Q.買取されないレーザー顕微鏡はどうすべきか?
A.企業で使用した顕微鏡は、産業廃棄物となります。普通のゴミとしては処分できないため、産業廃棄物の回収を行っている業者に依頼するとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか? レーザー顕微鏡は、サンプルにレーザー光を当てることで観察・形状測定を行う顕微鏡です。レーザー光を用いるため、非接触でサンプルの測定ができます。ものづくりの過程において、形状を正確に確認するために、レーザー顕微鏡は必要不可欠です。購入する際は、使用目的を明確にしてください。そして、処分する場合は、「買取」も選択肢に入れるとよいでしょう。まだ、使える状態なら買取が利用でき、費用をかけずに処分できます。